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バスクの海辺の町・ゲッチョでは、毎年7月末にプロの自転車レースが開催されます。港町特有の海に向かって開けた坂道と曲がりくねった道が名物のこのレースは、シルクイート・デ・ゲッチョと名付けられ、今年で73回目を迎えた夏のバスクの名物レースの一つです。

港町のレース: 坂道と海風と雨

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影:カーブのある坂道を選手たちが走り抜けます。

 

シルクイート・デ・ゲッチョはその名のとおり、ゲッチョとその周辺の 町をめぐる周回コースのレースです。

選手は1周約18㎞のコースを10周します。

港町によくある特徴の一つとして、海に向かって坂道が続くことがありますが、ゲッチョの街もその例外ではありません。

特に、ゴール前500メートルから続く上り坂は、このレースの名物です。

とは言え、このゴール前の坂も、スプリンターが対応可能なものです。

また、海からの風が日によって強く吹くこともあり、選手を苦しめます。

加えて、なぜかこのレース、雨の日に開催されることが多いのです。

スペインの北部のバスク地方は、時々7月でも冷たい雨が降ることがあります。

雨が降ると、このレースは一気にサバイバルレースの様相を呈します。

現代バスクを知るための50章/萩尾 生 吉田 浩美
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参加チームと優勝候補

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影:チーム右京。ちなみにこの時点で朝9時。

 

今年のこのレースも灰色の雲の下で開催されました。

出走したのは9チーム。

優勝候補とみられていたのは、去年のこのレース優勝者であるカルロス・バルベロ(ムービースター)です。

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影:右から2番目がカルロス・バルベロ(ムービースター)

 

彼は、基本的にはスプリンターですが、過去このレースをはじめに、ゴール前に坂のあるレースでいくつも勝利をものにしています。

加えて、彼のチームであるムービースターは、このレースをコントロールすることができる立場にあります。

彼が一番優勝に近い位置にいることは、会場のお客さんも十分理解していました。

日本からはチーム右京が参戦。

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影

 

去年もこのレースに出場しているので、サイン台での選手の様子もリラックスしたものです。

ちなみに、このレースのスタート時間は朝9時15分。

そして、出走確定サインと参加チームのプレゼンテーションは8時30分からと、非常に朝早くからスタートするレースなのです。

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ささやかな、でも熱烈な応援団

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影:アレックス・アランブル選手の「ファンクラブ」

 

レース前、一番盛り上がったのは、スペインのカハルラル・セグロス・RGAのチームがサイン台に姿を現したときでした。

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影:カハルラル・セグロス・RGA

 

このチームの選手であるアレックス・アランブル選手のご家族が会場に来て応援していたためです。

彼のご家族やご親戚が作る「ファン・クラブ」は、いつも大変熱心にアレックス選手を応援します。

ちなみに、彼はここバスクの出身。

自転車選手にとって、自分の地元で開催されるレースを勝つのは1つの夢なのです。

 

レース展開と驚くべき勝利

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影:先頭集団。

 

レースは序盤、4人の選手の逃げ集団が形成されたところから始まりました。

モービースターがコントロールするメイン集団はこの逃げ集団を認めたため、レースの中盤まで、この4人の選手たちが逃げ続けます。

展開に変化が起きたのは、レースが終盤になったときでした。

まず、雨が降り始めます。

雨脚は強くはなく、霧雨が少々強くなった程度のものでしたが、選手たちが走る路面を濡らすには十分なものでした。

加えて、海からの風も強く選手たちに吹きつけます。

そのような状況の中、メイン集団に落車が発生したのです。

このような落車にもかかわらず、ゴール前のスプリントは、カルロス・バルベロをはじめとする優勝候補がきちんと顔をそろえました。

最後の坂と石畳を超えて、一番最初にゴールに飛びこんできたのはカハルラル・セグロス・RGAのアレックス・アランブル選手でした。

ゴール直後、彼の口から思わず漏れた言葉は「えぇっ、マジで?」

本人にとっても、驚きと喜びの優勝であったようです。

しかし、彼以上に驚き、彼以上に大喜びしていた一団が、ゴール前にいました。

彼の「ファン・クラブ」です。

ゴールの瞬間、彼のご家族は歓声とも悲鳴とも聞こえるような声を上げました。

そして、次の瞬間にこの「ファンクラブ」のメンバーがしたことは、この日のレースを見に来ることができなかったほかの家族に、「アレックスが優勝した」と電話で連絡することでした。

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影

 

その後の表彰式では、彼のファンクラブも、表彰台の前へ移動し、喜びの瞬間を静かにかみしめていました。

シルクイート・デ・ゲッチョ

筆者撮影:左から2位のカルロス・バルベロ(モービースター)、優勝のアレックス・アランブル選手(カハルラル・セグロス・RGA)、3位のジョン・ジョン・アベラスツリ選手(エウスカディ・バスク・カントリー・ムリアス)。

敗北のない競技/土井 雪広
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今年のシルクイート・ゲッチョの主役は、若きアレックス・アランブル選手と、彼の「ファン・クラブ」でした。彼の地元のバスクで、また彼のご家族の前では特別なものであったに違いありません。少なくても、彼のご家族にとって、この日のレースは忘れられないものであったことは、確かではないでしょうか。選手と家族の絆の強さを感じた今年のシルクイート・デ・ゲッチョのレースでした。

ライター

Greenfield編集部

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日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。