サステナブルファッションに取り組むアウトドア業界
アウトドア業界では、サステナブルなファッションに取り組む企業が多数あります。キャンプや登山など、自然のなかでアクティビティを楽しむためにつくられる製品だからこそ、環境に配慮したサステナブルな取り組みが必要とも考えられますね。
以下の第1弾の記事では、サステナブルなファッションが注目されている背景を紹介しています。また、今回とは異なるアウトドアブランドの取り組み事例も挙げていますので、ぜひあわせてご覧ください。
「サステナブルなファッションへ!海外アウトドアブランドの取り組み①」
サステナブルファッションに取り組む海外アウトドアブランド4選
今回の第2弾でも、海外のアウトドアブランドのなかから、サステナブルな取り組みをおこなっているところを4つピックアップ。事例やアイテムを紹介していきます。
①icebreaker(アイスブレーカー)|ニュージーランド
1994年にニュージーランドで設立されたブランドです。メリノ種という羊の毛を使って商品づくりをしているのが特徴。「メリノウール」と呼ばれ、自然に分解されるだけでなく、温度の調節や消臭効果にもすぐれている素材です。
1997年以降、icebreakerはメリノウールの生産者と公平な取り引きを目指し、長期的な契約を結ぶようになりました。動物福祉に配慮したり、生産の過程がわかる仕組みを取り入れたりして、サステナブルな企業に成長しています。
ウール生産者との公平な取引
メリノウールの生産者とicebreakerの双方に公平な価格を設定。さらに、10年先まで同じ価格での契約を約束しています。
生産者は安定した収入が見込めるので、品質を守るための投資もできるようになりました。一方、icebreaker側には品質のよいウールが手に入るメリットがあります。
動物福祉を重視
多くの製品で羊の毛をつかっているため、動物福祉を大切にしています。
2008年にはアウトドア業界ではじめてミュールジング(幼虫の寄生を防ぐために皮膚を切り取る処置)を禁止しました。代わりに導入された新しい管理方法や治療法は、いまやアウトドア業界全体に広がっていますよ。
メリノウールの生産を管理するために、羊を飼育する環境に以下の5つの条件をもうけています。
- 飢えや乾きがないこと
- 自由に行動できること
- 身を隠すシェルターが確保されていること
- ストレスがないこと
- ケガや病気から保護されていること
icebreakerのウール製品を手に取るとき、ぜひ企業の取り組みに思いを馳せてみてくださいね。
②MILLET(ミレー)|フランス
1921年にフランスで設立されたブランドです。当初は食料を運ぶためのトートバッグを製造していました。
1945年から登山用リュックの開発をはじめ、登山家たちと協力しながら商品を改良。1970年代からウェアの領域にも参入をはじめました。現在では、山を中心としたアウトドア用のリュックやウェアが主な商品になっています。
環境に配慮した素材を使用
天然素材やリサイクルされた素材など、環境にやさしい素材を積極的につかっています。また、すべての製品のうち40%の素材はブルーサインを取得。ブルーサインとは、環境・労働・消費者の観点でサステナブルな製品に与えられる認証です。
ほかにも、フッ素化合物を排除するための取り組みも実施。フッ素化合物は水をはじく効果があるので、アウトドア製品によくつかわれています。しかし、自然のなかに残ってしまう物質のため、MILLETでは使用しない製品を増やしていますよ。
倫理的な基準で工場を厳選
生産をおこなう工場は環境面に倫理的な基準をもうけて、厳しく選定。製品をつくるなかで関わる企業も、MILLETが提示している環境配慮の基準を満たしています。
また、ヨーロッパに自社の工場をもつのも環境への配慮からです。店舗までの輸送距離を短くして、環境負荷のあるCO2の排出を減らしています。
③HOUDINI(フーディニ)|スウェーデン
「最高の着心地」をコンセプトとして、1993年にスウェーデンで設立されたアウトドアブランドです。耐久テストを重ね、過酷な自然のなかでも耐えられる商品づくりを目指しています。耐久性だけでなく、アウトドアのさまざまなシーンで活躍する機能性にも配慮していますよ。
リサイクル可能な製品づくり
リサイクルできる素材や合成繊維をつかった製品づくりをおこなっています。また、自然に分解される天然素材も積極的に使用。天然繊維と合成繊維は混ぜてつかうことはありません。混ぜてしまうと、リサイクルや生分解ができなくなってしまうからです。
また、つかい終わった製品を堆肥にするプロジェクトもおこなっています。土に埋めると堆肥になるということは、きちんと生分解できる製品だからです。さらに、つくられた堆肥で野菜を育て、レストランに提供する取り組みもおこなっています。
100%循環型のビジネスモデルに挑戦
2030年までに、製造から流通のすべてのプロセスを100%循環型に切り替える予定です。たとえば、海や土のなかにある廃棄物を資源として利用する取り組みをおこなっています。
また、製造から流通に至るプロセスで、トレーサビリティの確立も目指しているのが特徴。トレーサビリティとは、製品をつくる過程が追跡できるように管理されていることです。原料やその生産者、製品のつくられかた、輸送のルートなどをチェックしています。
④HELLY HANSEN(ヘリーハンセン)|ノルウェー
1877年に、ノルウェーの船乗りが工場を設立。船乗りたちの悩みであった、寒さや雨から体を保護するために、防水ウェアの制作をはじめました。翌1878年には、パリ万博でシーマン衣料部門のデザイン賞を獲得。1950年に世界ではじめて完全に防水できるウェアを発売しています。
リサイクルポリエステルを使用
リサイクルされたポリエステルを利用して製品をつくっています。廃棄される予定だったポリエステルを捨てずにすみ、燃やす場合と比べるとCO2の削減が可能になりました。
ポリエステルの原料は石油です。新しくポリエステルをつくる場合と比べ、石油の消費量を少なくできるのも、資源の保全に役立ちますね。
ヨットの帆をアップサイクル
全国のヨットオーナーからつかわれなくなった帆を回収し、バッグやビーチパラソルにアップサイクルしています。アップサイクルとは、捨てられるはずのものにデザインやアイディアで付加価値をもたせ、新しい製品に生まれ変わらせることです。
帆を回収したあとに洗浄し、それぞれの大きさを見ながら新しい製品をつくっていきます。アップサイクルに必要な工程は、すべて自社で実施しているのも特徴です。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。