絶滅危惧種が増える5つの原因
絶滅危惧種が加速度的に増加している原因は、私たち人間の活動によるものです。私たちは生きていくうえでさまざまな活動をおこないます。その活動がどのように野生生物に影響を与えるかをみていきましょう。
①開発による環境の変化
人間の生活を豊かにするために、森林地の開発を過剰におこなったことが原因で、本来の野生動物の生息地が奪われています。
森林地以外でも、身近なところでは水田の開発が進み、水路が整備されたためにメダカの生息が困難に。1999年に野生メダカは絶滅危惧種に指定されました。
②農薬や化学物質による汚染
農薬などの化学物質は野生生物が死んだり、脆弱化したりする原因のひとつです。また、生活排水などで生息地が汚されて、住みかを奪われることもありますね。
化学物質には、自然環境のなかで分解されにくいものがあります。時間をかけて生態系に悪影響を及ぼすことが心配されていますよ。
③乱獲・密漁
希少価値の高い野生動物は、剥製や装飾品、漢方などとして高額で売買されます。そのため、乱獲や密猟がおこなわれ、絶滅の重大な原因となりました。
たとえば、二ホンカワウソは、大正から昭和にかけて良質の毛皮を目当てに乱獲されて激減。1979年に目撃されたのが最後でしたが、2017年に対馬で2匹生息していると環境省が発表しました。その後も目撃情報はあるものの、確証がなく、いずれにしても絶滅の危機にあると考えられています。
④外来種のもち込み
外来種のもち込みは、もともとあった生態系を破壊することにつながります。外来種がその土地で野生化し、天敵がなく大繁殖すれば、在来種の住みかを奪ってしまいますよね。
私たちが普段目にしているタンポポは、その多くが外来種のセイヨウタンポポです。セイヨウタンポポは、明治初期に北海道に移住してきたアメリカ人によって、食用として導入されたといわれています。それ以後、繁殖力の強さから、在来種のタンポポは生息しにくくなってしまいました。
また、日本各地の湖沼で在来種の魚を激減させたのは、ブラックバス。1925年に神奈川県・ 芦ノ湖に放流されたのをきっかけに、在来種の生態系を脅かしています。
出典:環境省「ぼくたちのこと知ってる?」
⑤地球の温暖化
地球温暖化による気候変動が進み、さまざまな生きものの生息環境に変化が起こっています。
1980年代以降、小規模なサンゴの白化が世界各地で頻発。海水温度の上昇が関係すると考えられ、地球温暖化における深刻な問題のひとつです。1997年から翌年にかけては、サンゴが白くな る現象(白化)が世界中のサンゴ 礁で発生。沖縄県でも1998年に広範囲で報告されました。
ほかにも気候変動による豪雨や干ばつの影響もあり、絶滅危惧種は急速に増加しています。
出典:環境省「いのちはつながっている」
絶滅危惧種を守るために私たちができること
これ以上、絶滅危惧種を増やさないために、私たちができることはたくさんあります。
省エネルギーに取り組む
省エネルギーのために、まずは身近なところから、節電を心がけてみましょう。電力消費は二酸化炭素の排出量を増やし、地球の温暖化の原因になっています。また、地産地消でも、輸送に必要なエネルギーの削減ができますね。
プラスチックゴミを減らす
プラスチックゴミを削減するのも、大切な取り組み。プラスチックゴミが海に流れこむと、海洋生物がからまったり誤飲したりして、死に至ることがあります。
環境に配慮した製品を選ぶ
リサイクル品やプラスチックフリーの商品を利用するのも方法です。また、有機農業で生産されたものを選んだり、エシカルファッションを取り入れたりするなども環境にやさしい選択ですね。
ペットや外来種を自然に放さない
ペットや外来種を自然のなかに放すと、その地域にいる生きものに影響を与える場合があります。子孫を残して定着すれば、生態系の破壊につながってしまうでしょう。
自然とふれあう
身近な自然を体験し、生きものに関心をもつことも大切です。生態系について理解を深められるだけでなく、環境保全への意識も高められますよ。
この記事を書いた人
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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