日本のインバウンド観光戦略は地方再生の切り札に成り得るのか!?

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日本のインバウンド観光戦略は地方再生の切り札に成り得るのか!?

日本政府は観光産業を地方再生の成長戦略と位置づけ、2020年には年間2,000万人の訪日外国人を見込んでいます。新たな観光資源として、日本の自然やカルチャーが注目を浴びているなか、アウトドアライフを好む傾向にある外国人観光客向けのキラーコンテンツが模索されています。地方経済の活性化も期待されるインバウンド戦略を考察します。

訪日外国人旅行者(インバウンド)事情

 

国土交通省観光庁の発表によると、2014 年に1,341 万人に達した訪日外国人観光者数は、2015年には1,937万人を超え、政府が目標とする2020年度2,000万人、2030年度3,000万人は、現実味を帯びてきました。

しかし、世界の観光大国とは未だに大きな差があります。

更なる観光客の獲得のためには、リピート客、長期滞在型観光の拡大が必須であり、ニューツーリズムとも言われる新たな観光資源の開発が注目されています。

 

 

日本の自然、文化、歴史は、観光大国になり得るポテンシャルを持っています。

東京、大阪などの大都市や富士山、京都といった有名な観光地の他にも、私たち日本人ですら気づかない魅力がたくさんあるのです。

スキーやグランピングなど、外国人観光客が好む「アウトドアコンテンツ」を充実させることも、更なる外国人観光客を増やし、地域経済の活性にも繋がると期待されます。

 

 

インバウンドを押し上げた政府政策と背景

インフラ整備

 

日本が観光大国の仲間入りをすることは、地域経済の発展のみならず、日本のGDP全体を上げることに繋がります。

今後の人口減少による経済衰退が危ぶまれるなか、インバウンドの拡大は、地域経済の増収、雇用創出などが見込まれ、日本経済全体の将来を考えることにもなります。

 

 

2020年に政府が目指す2,000万人の訪日外国人者数は、これまでの観光経済を担っていた、60歳~75歳の人口に匹敵するボリュームです。

また、その後の将来人口予測を考えると、インバウンドによる市場性は日本全体の生産人口をも超えると予想されてるのです。

こうした日本の将来設計を考慮して、政府ではインバウンド獲得のためさまざまな施策を講じてきました。

インフラ整備として航空自由化協定(オープンスカイ)や、羽田、成田、関空などの主要空港の整備が行われるともに、ビザ発券の緩和や免除など、制度面での整備も訪日外国人増加の環境を作ってきました。

 

 

 

急速に増大した近隣諸国からの旅行者

 

急増している外国人観光者ですが、その82.9%が近隣アジアからの訪日者です。

しかも中国、韓国、台湾、香港などの東アジア圏が、さらにその71.9%を占めており、訪日外国人の増加には地域による隔たりがあることがわかります。

この要因は、ビザの免除及び政策緩和、中国市場の成長戦略、アジア新興国の経済成長などが考えられます。

インバウンドの受け入れ態勢を整えるためには、この東アジアからの訪日者向けに、言語や風習、注意喚起などの準備をする必要があります。

 

 

欧米諸国からの旅行者を増やすためには

インバウンド

 

日本のインバウンド戦略を押し上げてきたのは、東アジア、とくに中国からの訪日外国人です。

しかし、一部の国からの観光客に依存した戦略では、経済状況や政治環境の変化などによるリスクも高まります。

現状の東アジアからの訪日者への対応を整えながら、ヨーロッパやアメリカなどの新たな市場からの訪日外国人を増やす必要があります。

 

ケーススタディ・新潟県妙高高原

豪雪地帯

 

新潟県南部に位置する妙高高原は、多くのスキー場と温泉旅館があり、北陸新幹線妙高高原駅が開業したことにより、都心から近い高原リゾート地として知られています。

この10年ほどで、妙高高原を訪れるオーストラリア人観光客が激増。

冬季にスキー場を訪れる外国人観光客の7,8割がオーストラリアからの訪日外国人です。

 

 

妙高高原のスキー場、温泉旅館では、日本でも有数の豪雪地帯であることを観光の目玉に据え、世界的にも珍しい「豪雪」をコンテンツに発信を続けました。

また、スキー場の雪質の良さが口コミで広がり、とくに南半球では夏になるオセアニアからの訪日外国人が急増。

国内リゾートとしては減少していたスキーリゾートを、インバウンド向けの戦略をいち早く進めたことで、近隣の温泉街にいたるまで活気づいています。

 

ケーススタディ・立山黒部アルペンルート

雪の大谷

 

立山黒部アルペンルートは、富山県と長野県にまたがる山岳ルート。

3,000m級の山々が連なる北アルプスを貫く全長37.2km、最大高低差は1,975mの観光ロードです。

弥陀ケ原にできる雪の大谷と呼ばれる巨大な雪の壁が特に有名で、雪の多い年には20mにも及ぶ雪の壁が出現します。

県、市町村、リゾート施設、それぞれの垣根を外し、山岳ルートとしての観光資源を作り上げた立山黒部アルペンルートは、スイスの山岳リゾートを手本に、世界に「立山黒部」というブランドを発信しています。

 

こちらも合わせてご覧ください

立山黒部アルペンルート公式HP

 

 

 

期待される地方再生戦略

 

国内外の宿泊者数は、東京、大阪、北海道などに集中し、地方での宿泊施設稼働率はバブル崩壊後、衰退の一途を辿っていました。

外国人観光客をターゲットにした観光戦略により、再生、向上している施設も増えてきましたが、宿泊施設全体の構成では、北海道、沖縄の一大観光地域と東京、大阪などの大都市に訪日外国人も集中しています。

経済大国として知られる日本には、未だ広く知られていない観光資源がたくさんあります。

豊かな自然や文化的観光資源は、東京、大阪などの大都市以外に多く存在し、日本が観光大国となるポテンシャルが隠されています。

地域経済の再生が期待されるインバウンド戦略は、これら知られていない観光資源に光を当て、世界に発信するプロモーション能力が不可欠です。

幾度となく謳われた地域再生の期待を、今度こそ実現させるためには、入念な計画性と情報発信が鍵になると考えられます。

 

 

まとめ

日本が観光大国になるために、官民一体となった施策が次々と試されています。インバウンド戦略による訪日外国人を呼び込み、地域経済を活性させることが、人口減少により危ぶまれる消費減少を食い止め、国内全体の経済を底上げできると考えられているからです。外国人観光客を増やすためには、自然や文化に富んだ日本ならではの魅力ある観光資源を発掘し、世界に発信していくプランニングが必要。これまでも、官公民一体となったプロジェクトでハード、ソフト両面を充実させてきました。日本が一流の観光大国になる準備は整ってきていると言えるのではないでしょうか。

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