ファビオ・アルの引退宣言で幕開けしたブエルタ・エスパーニャ
今年のブエルタ・エスパーニャの最初の大ニュースは、イタリア人サイクリストのファビオ・アル(クベッカ)の引退宣言でした。レース2日前のチームプレゼンテーションに合わせてチームから発表されたこのニュース。
そして、チームプレゼンテーションのあとに報道陣の質問に応えたアルは「もう、引退する時期が来たということ。家族と一緒にいる時間などを、自分の生活の中に取り戻したい」と話しました。
ブエルタの第2週目には体調不良からリタイアの可能性も噂されたアルでしたが、最終週になりスペイン北部がレースの舞台となると、彼の体調も一気に回復。
上りの多いステージでは一時はステージ優勝争いに加わるなど、ブエルタ後半戦を盛り上げた選手の一人となりました。
最終第21ステージの個人タイムトライアルを終えたアルは、こころなしか少し目を赤くしながら、報道陣の質問に一つ一つ丁寧に応えていきます。
そして30分以上かけてすべての報道陣の質問に応えたアルがその場を離れようとすると、居合わせた報道陣やファンからの温かな拍手が彼に送られました。
そして、この日がファビオ・アルにとって現役プロサイクリストとして最後のレースとなったのです。
【ブエルタ・エスパーニャ2021】今年はスタート・ゴールに観客の姿が
今年も様々な新型コロナウイルの感染対策が実施された上で、ブエルタ・エスパーニャが開催されました。
ブエルタ内で働く人は、報道陣も含めて、常時マスクの着用が義務付けられていましたし、スタート前のサイン台に近づくことができるカメラマンの数は非常に少人数に制限されました。
また、選手や監督へのインタビュー取材も現場に設置されたミックスゾーンでのみ行うことができした。
しかし、今年と昨年のブエルタの最大の違いは、今年はスタート・ゴール地点に観客の姿が見られたことにあります。
昨年はまったく見られなかった観客の姿でしたが、今年はどのステージにも大勢の観客が集まり「やはり自転車レースはこうでなきゃね」と、選手たちを笑顔にさせていました。
観客が集まるようになったことで、昨年は見られなかったオフィシャル・グッズを販売する店やレース前のスポンサーによるキャラバンカーの隊列も復活しました。
観客が選手にサインやセルフィを頼むことは基本的には禁止されていたのですが、中には警備する警察官の目を盗んでこっそりお目当ての選手と一緒の写真を撮っている観客もいて、少しずつ「いつものブエルタ・エスパーニャ」へと戻る様子が見られました。
最終前日に総合第3位だったミゲル・アンヘル・ロペスがレースを棄権
今年のブエルタの総合争いは、ログリッジは圧倒的なチーム力で優勝しましたが、表彰台争いは最終日前日までもつれ込むことになりました。
第19ステージ終了時点で、総合トップはすでにログリッジでしたが、2位と3位にはモビスターのエンリック・マスとミゲル・アンヘル・ロペス、4位にはジャック・ヘイグ(バーレン・ビクトゥリウス)、5位と6位にはイネオス・グレナディエルのアダム・イェーツとエガン・ベルナルが並ぶという状況でした。
第20ステージのレース中盤、この5選手を含むメイン集団から、ログリッジやマス、ヘイグそしてイェーツが飛び出すと、ロペスとベルナルがこの動きに乗り遅れます。
ロペスは5選手に追いつこうとするも、なかなかタイム差が縮まらず、最終的にこの日のゴールまで20km地点となったところで、突然レースを止めてしまいます。
レースを突然辞めた理由として、ロペスとモビスターとの軋轢があったためとも言われていますが[1]、総合第3位だった選手の突然の棄権はブエルタ終盤の大きな話題となりました。
2022年のブエルタ・エスパーニャはオランダ・ユトレヒトからスタート
ログリッジの3連覇で幕を閉じた今年のブエルタ・エスパーニャでしたが、レースが終わった10日後には来年のブエルタのスタート地点が正式に発表されました。
当初は2019年のスタート地点に予定されていたオランダ・ユトレヒトが、来年のブエルタ・エスパーニャのスタート地点になります。
第1ステージは2022年8月 19日、ユトレヒトをスタート及びゴールとするチーム・タイムトライアルとなる予定です。
9月5日にスペイン・ガリシア地方のサンティアゴ・デ・コンポステーラにて、3週間のレースを終えたブエルタ・エスパーニャ。プリモッシュ・ログリッジ(ジュンボ・ビズマ)の3連覇で幕を下ろした今年のブエルタの主要な動きを、この記事で紹介します。
ライター
Greenfield編集部
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