山岳部ではどんなことをするのか?
登山することを目的とした人が集まって活動する山岳部とはいったいどのような部活動なのか、わかりやすく解説します。
未経験者でも山岳部に入部できる?
もちろん山岳部には未経験者でも気軽に入部できます。山岳部に籍だけおいてまったく部室に現れない部員もすくなくありません。
逆に放課後は毎日トレーニングにはげみ、週末には欠かさず登山にでかける熱心な山岳部員もいます。
筆者の時代は先輩が登山の知識や技術、トレーニングなどを指導していましたが、最近は個人が自主的に活動する山岳部がふえているようです。
山岳部に資格は必要?
山岳部に入部するため、または活動するための資格はいりません。山岳部の活動をしながら山岳ガイドや登山ガイドの資格取得をめざしている部員はたくさんいます。
山岳部とワンダーフォーゲル部のちがいは?
ワンダーフォーゲル部という名前は聞いたことがあるけれど、初心者にとっては山岳部とどう違うのかわからないという方がほとんどなのではないでしょうか。
ここでは山岳部とワンダーフォーゲル部との活動内容のちがいについて解説します。それぞれの高校や大学によって活動内容がことなってきますが、比較的難易度の高い山に登ることを目的としているのが山岳部。
それに対して自然と親しみながら登山を楽しむことを目的として活動しているのがワンダーフォーゲル部です。以下の表で違いについてまとめましたので参考にしてください。
【山岳部】 | 【ワンダーフォーゲル部】 |
雪山登山をすることが多い | 雪山登山しないことが多い |
縦走登山をする | 縦走登山をする |
沢登りをする | 沢登りをする |
ロッククライミングをすることが多い | ロッククライミングをしないことが多い |
バックカントリースキーをしないことが多い | バックカントリースキーをすることが多い |
サイクリングをしない | サイクリングすることが多い |
山岳部の活動内容を紹介
筆者が山岳部にいたのは数十年前のことです。そのため当時と今とでは活動内容が変わっている可能性がありますが、経験をふまえながら紹介していきます。
山岳部の活動内容①日々のトレーニング
筆者が所属した高校の山岳部では、シュラフやテントのチェック、天気の良い日には朝から虫干しをします。放課後は約20㎏の砂袋をいれたリュックを背負い、近くの山に1時間ほど登山するというトレーニングをおこなっていました。
大学時代の山岳部では、山岳部に籍をおいて個々人で活動することがほとんど。先輩後輩の上下関係はなく、年間に2回ほど立山連峰や白山などで登山合宿をおこなっていました。
山岳部の活動内容②週末の山行き
山岳部がトレーニングをおこなう山が大学ごとにあります。交通費のあまりかからない近くの山でトレーニングをおこなうことが多いようです。
山行きでは、岩場でのザイルをつかったトレーニングをはじめ、沢登りや雪山でのトレーニングなど季節ごとに活動内容がことなります。
山岳部の活動内容③登山の知識を学ぶ
安全な登山のための知識を学ぶ座学があるのも山岳部ならではです。山でもっとも重要な情報は天気。ラジオから流れる各観測地点の天気や気圧を聞いて等圧線を描いていく天気図の書きかたなども学びます。
ほかに山でケガ人が発生したときの応急処置のしかたや雪崩の対応、登攀(とうはん)技術、ロープワークなどもあります。
筆者の場合は美術大学ということもあり、ほとんどしばりがなくフラットな雰囲気の山岳部でした。名門の山岳部がある京都大学、早稲田大学、明治大学、信州大学などでは、毎週岩登りや沢登りのトレーニングをおこなうことがおおく、気象や雪崩の対応、登攀技術などの座学も充実しているようです。
※登攀(とうはん)・・・高い山を登ること
山岳部の魅力について
山岳部OBの立場から魅力についてまとめてみました。
山岳部の魅力①登山の技術や知識が身につく
山岳部のいちばん大きな魅力は登山の技術や知識が習得できるところです。
登山の技術や知識には、滑落事故を防止するための三点指示による登山技術、ザイルの安全な使いかた、雪渓の歩きかた、天気予報の知識(天気図の作成方法)などがあり、山以外の日常生活でも役立つことがたくさんあります。
山岳部の魅力②活動内容や部員のしばりが比較的ゆるく自由
山岳部にもよりますが、比較的しばりがゆるく自由な雰囲気のケースがおおいようです。ほかの部活動にくらべて、先輩後輩の上下関係がゆるいという傾向もみられます。
山岳部の魅力③進学や就職に有利なことが多い
山岳部OBの立場から感じたこととして、進学や就職に有利にはたらくことが多いというのが実感です。
大学受験の面接で教授から「ああなるほど、3年間山岳部で頑張ってきたんですね」と内申書をみながら質問されたことがあります。
実際に頑張ったところを見ていたわけでもないのに、「頑張っている」「忍耐強い」といったイメージが勝手に山岳部にはついてくるんだな、と感じました。
就職活動でも、山岳部に所属していたことで忍耐強い、チームワークに優れている、協調性があるといった良いイメージを持たれることが多かったように感じています。
山岳部って危なくないの!?
山の事故が過大評価され山岳部には危険なイメージがつきまといますが、実際にはほかの部活動よりもはるかに死亡事故の件数は少ないようです。
筆者が山岳部で活動していたころの感想ですが、山岳部に所属する学生の死亡事故はほとんどありませんでした。
ほかの部活動、たとえば柔道やラグビー、陸上競技などの頭部損傷や心臓発作による事故のほうが、山岳部の遭難事故よりもはるかに多いというのが実感です。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。