ドライスーツ用のインナーはパジャマでもなんでもいいと思われがちです。しかし快適なダイビングをするためには専用のインナーが不可欠。ダイバーのスキルや今後の楽しみ方にも大きく影響します。この記事で、専用インナーの大切さや使い方を確認しましょう。
ドライスーツ用インナーの種類
基本的にドライスーツのインナーとして求められる機能はこちら
・保温性
・通気性
・撥水性
・ストレッチ
これらさえあれば専用のものではなくてもいいのですが、網羅するものを見つけるのは大変難しいです。上記のインナーとして必要な機能を頭に置きつつ、種類を確認していきましょう。
なお、インナーごとに推奨時期を記していますが、関東・関西・九州地域であくまでも参考です。また、使用されているドライスーツの種類や天候によって異なる場合があります。ご了承ください。
フリースタイプ
厚すぎず、薄すぎず、暖かく、動きやすい、という特徴を持ち、一番期間が長く使用できるのが、フリースタイプです。フリースの厚さで先述の機能プラス、防風性もあるとさらに快適。
ん?防風?と疑問になると思いますが、意外と重要です。陸での休憩中は、基本的にドライスーツを腰まで(人によっては全部)脱いでいるため、防風性だと、身体を冷やさずにいられます。
ちなみに、サイズがブカブカだとファスナーに噛んで水没の原因になってしまったり、浮力が増したり、動きにくかったりと不都合が多いので、なるべくタイトなものを選びましょう。
11月〜12月中旬 単体でOK
12月下旬〜6月上旬 プラス、下にロングTシャツ
6月中旬〜7月中旬 単体でOK
▼おすすめフリースタイプインナー▼
薄手タイプ
気温、水温ともに比較的高く、ウェットスーツとドライスーツの切り替え時期に適したインナーです。ロンTやTシャツでもOKですが、ここでも機能性は求められます。特に保温性と疎水性があると汗冷えを抑えてくれるのでおすすめ。
必要な機能を網羅しているものだと、真冬時期にフリースタイプの下に重ね着をしてさらに暖かく快適にダイビングを楽しめます。
ちなみに筆者の経験上、ヒートテックは、長時間の使用による過度な湿りで逆に冷えてしまいますのであまりおすすめではありません。
10月中旬、7月上旬
その他の時期はフリースタイプなどのインナーの中で着用する
▼おすすめ薄手タイプインナー▼
もこもこタイプ
中面素材で作られた、シェルドライ専用のインナーです。シェルドライは、ほかのドライスーツと違い、スーツ自体に保温性がなく、保温は着用するインナーにかかっています。
水温や気温が比較的高い時期はフリースタイプで問題ありませんが、その時期以外は基本的にシェルドライ専用のもこもこインナーを着用しましょう。
ネオプレーンやラジアルドライで着用できなくもないですが、浮力や厚さ、運動性、脱着のストレスを考えると不向きといえます。
12月下旬〜6月上旬 単体のみでOK
▼おすすめもこもこタイプ▼
ウェットスーツ用のインナーと兼用タイプ
ドライスーツがレンタルや、ウェットスーツがメインという方は、ウェットスーツのインナーと兼用できるタイプがおすすめです。もちろんウェットスーツ用なのに無理矢理ドライスーツのインナーとして使用するのはよくありません。
筆者がウェットスーツ専用のインナーをドライスーツで試してみたときは以下のような結果になりました。
・肌に張りつく
・通気性がなく汗でベタベタ
・動きにくい
・脱着が一苦労
・ドライスーツの内側が臭くなる
結論、とても後悔しました。兼用する場合は、ウェットスーツのインナーとしても使用できると明確に記されているインナーにしましょう。
11月〜12月中旬 単体でOK
12月下旬〜6月上旬 プラス、ロングTシャツ
6月中旬〜7月中旬 単体でOK
▼おすすめウェットスーツインナーと兼用タイプ▼
インナー+αでダイビングをより快適に
よりよいインナー選びが、快適にダイビングをするコツ。さらに、プラスアルファのアクセサリーを準備すればストレスなくダイビングを楽しめます。
フード
頭部から放出される体内の熱を抑える役割があり、ドライスーツでのダイビングでは必須といえます。頭皮を紫外線から守り、水中での髪の乱れを抑えてくれるので、ウェットスーツ時でも着用している方が多く見受けられます。
ただ頭部から首元部分までピッタリとしたネオプレーン生地で覆うため、圧迫感や、耳抜きが苦手な方には不向きです。その場合は、耳上部分までのニット型やキャップ型を選びましょう。
▼ニット型ダイビングフード▼
グローブ
手の冷えは、水中撮影や陸での動作がしづらく大変ストレスになるので、しっかりと保温できるグローブを着用しましょう。
ちなみに手の保温はあなたのバディーのためでもあります。ドライスーツがバックファスナーの場合、バディーのファスナーを開けてあげることが必要なため、そんなときあなたの手が悴んでいたら、バディーはトイレにも行けません。しっかりと対策をしましょう。
生地が厚いほうが保温にはなりますが、カメラのボタンが非常に押しにくいので注意してください。
手の冷えを感じない時期であれば3シーズン(春・夏・秋)用、冷えを感じる時期であれば、2~3mmのスキン素材がおすすめです。
▼おすすめグローブ▼
ソックス
ソックスは専用にこだわらなくてもいいですが、必ず長靴下を着用しましょう。
特にくるぶしソックスは避けてください。スーツ脱着の際はもちろん、ダイビング中に脱げることがほとんど。ダイビング中に脱げてしまうと、土踏まずのところまでずり落ちた状態が陸に上がるまで続き、フィンキックがしづらく、とてもストレスを感じます。
なぜ長靴下かというと、靴下の口ゴム部からインナーの裾を入れ込んで、インナーが上がってこないようにするためです。
格好ダサっ!!と気になるおしゃれさんは、トレンカのような踵通しがあるタイプのインナーを選びましょう。
ドライスーツ用のインナーは専用のものでなくても、ドライスーツでのダイビングという行為そのものは可能です。いろいろと試してみたい方は、捨てても構わないものを選びましょう。
ただ今回紹介したとおり、ドライスーツ専用でないと快適さが格段に減り、インナー選びを誤ったためにドライスーツのダイビング自体が楽しくないと、認識してしまう方も少なくありません。
迷ったときはぜひこの記事を参考にして、快適なダイビングをお過ごしください。
ライター
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マリンスポーツのジャンルを得意としたwebライター。海遊びの楽しみ方やコツを初心者にも伝わるよう日々執筆活動中。スキューバダイビング歴約20年、マリンスポーツ専門量販店にて約13年勤務。海とお酒と九州を愛する博多女です。