登山の原則「早立早着」とは
早出早着とは、字のとおり「早く出発して早く着く」という意味。これは、初心者でもプロでも、登山における基本中の基本です。「夕方までに着けばいいから、お昼より少し前に出発すればいいか」と、気軽な旅行であれば逆算のみで出発時間を考えがちですが、登山の場合これは間違いです。
登山では、早朝の5時や6時に出発することが多いです。登る山や行程によっても変わりますが、基本的には早朝から登山を開始し、お昼過ぎまでには山頂に着くようにします。山小屋への到着時間も、多くの施設は14〜15時くらいを目安としています。
なぜ、そのように早く登山を開始する必要があるのか、ご説明します。
登山を早朝に開始すべき理由とは
早立早着を基本としているのは、登山にはいろいろなトラブルや危険に遭遇する可能性があるので、それに対処できるようにするためです。また、山の天候も大きくかかわっています。それぞれ、具体的に理由を説明していきます。
理由①時間に余裕ができて、トラブルに対処できるから
登山には、思わぬトラブルがつきもの。初心者のうちは、なおさら注意する必要があります。けがをしたり、道に迷ったりする可能性は、常に頭に入れておきましょう。とくに、暗くなって道に迷ってしまったら、街灯のない真っ暗な山のなかでは最悪の場合遭難してしまうおそれも。
明るいうちなら、迷っても方向修正が簡単ですし、人にも見つけてもらいやすいです。早い時間から行動して、いろいろなリスクに対応できるようにしましょう。
理由②下山時刻を早くできるから
下山時刻を早められると、そのぶん早く帰れます。登山の翌日に仕事があると、つい次の日への影響を考えてしまいますが、早く帰れば体力的にも精神的にも楽になるでしょう。また、早く下山できると時間に余裕があるため、ふもと周辺を観光したり、立ち寄り湯に入ったり、といった楽しみ方もできます。
理由③午前中のほうが景色がいいから
山の天気は、午後からくずれることが多いです。太陽が上って暖かくなると上昇気流がおこり、雲が発生するというのがその理由。
せっかく山頂に着いたのに、雲におおわれた景色しか観れないのでは、少しがっかりしてしまいますよね。できることなら、雲の無いきれいな景色を見渡したいもの。そのためにも早く出発し、なるべく午前中のうちに山頂に着くようにしましょう。
理由④雷は午後におこりやすいから
午後に発生しやすいのは雲だけでなく、雷も発生しやすくなります。とくに、夏の午後は雷が多く発生します。
雷は高い場所に落ちる性質があるので、山頂は落雷の危険性が高い場所。落雷は命にかかわるので、登山でもっとも注意すべきもののひとつです。また、山頂は街中と違って隠れるものがほとんどなく、さらに標高が高く雲に近い場合には、上からだけでなく横からも落雷する可能性があります。
落雷のリスクを減らすには、事前に天気予報をしっかり確認することはもちろん、早く山頂に着いて天気がくずれる前に下山をはじめることが大切です。
理由⑤涼しいうちに行動できるから
気温が上がる前の午前中に行動できれば、涼しいため体力の消耗を防げます。登山途中で気温が上昇し汗を多くかいてしまうと、体力が消耗したり汗冷えしやすくなったりします。汗冷えをおこせば、最悪の場合低体温症になってしまうおそれも。
とくに、夏は午前中の涼しいうちに山頂まで登れると、かく汗の量をおさえられるため、体力に余裕をもって下山ができるでしょう。
登山を早朝に開始するために、注意すべき点
とくに、普段運動をあまりしないような方であれば、早朝からの登山は体に負担がかかるため、事前に十分に体調をととのえておく必要があります。早朝に登山する前に、気をつけておきたいポイントをご紹介します。
前日はお酒を飲まない
二日酔いが登山に悪影響を与えるのはもちろん、お酒を飲むと寝つきが悪くなり、眠りも浅くなります。また、お酒には利尿作用もあるので、体が脱水状態をおこしやすくなりがち。登山の前日は、お酒は控えて水分をたっぷりとるようにしましょう。そして、睡眠を十分にとれるよう、体をととのえておきましょう。
登山の前に十分な水分をとる
登山で怖いのは、脱水症状をおこすこと。とくに、早朝の起床時は体内の水分が少なくなっているので、しっかり水分をとってから登山を開始しましょう。また、早朝は副交感神経から交感神経に切り替わる時間でもあり、早朝の運動は脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるといわれています。それらを予防するためにも、水分補給をしっかり行い、血流をよくすることが大切です。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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