室内用延長コードは屋外で使用できない
私たちが普段から自宅で使用している、家庭用の一般的な延長コードや電源タップは室内用です。これらの商品は、屋内の環境での使用に特化しているため、屋外には適していません。
家庭用の延長コードは、屋外で使う際に必要な防塵・防水処理がされていないため、水や埃などでショートしたり、感電したりする危険性があります。家庭用の延長コードに対し、屋外型の延長コードや電源タップには防塵・防水処理が施されているため、屋外でも使用できるのです。
また、「労働安全衛生法」にもとづいて厚生労働省が制定した、労働環境の安全や衛生などの確保を目的とした省令である「労働安全衛生規則」のなかには、水などがある場所で使用する器具類の規制を定めた「内線規程(ないせんきてい)」があります。そして、内線規程にもとづく、風雨や直射日光にさらされた環境下でも使用できる器具類は「屋外型」と呼ばれます。
キャンプ場の電源サイトでのアウトドアでは、屋外型のコードリール・電源タップ・延長コードなどを必ず使用しましょう。屋外型の器具類を用いることで、事故やトラブルを未然に防げる、安全性を考慮したキャンプが楽しめます。
屋外用延長コードの種類
- ケーブルタイプ
- コンセント差し込み口を増やすタイプ
- リールタイプ
ケーブルタイプ
まず、最も基本的なタイプは単純に長さを延長するケーブルです。これは単一の電源を遠くまで伸ばすために使われ、自由度が高く様々なシーンで活用することができます。
選ぶ際には、必要な長さを考慮することが大切です。
コンセント差し込み口を増やすタイプ
次に、長さを延長しつつもコンセント差し込み口を増やすタイプがあります。このタイプは複数のデバイスを同時に接続する必要がある場合に特に便利です。
たとえば、キャンプサイトでライト、スマートフォンの充電器、ポータブル冷蔵庫などを同時に使用したい時に適しています。
リールタイプ
さらに、長いコードを管理しやすくするリールタイプもあります。このタイプは、使用しないコードを巻き取って整理できるため、収納や持ち運びが容易になります。また、使い勝手が良く、見た目もスッキリしているため、予算に余裕がある場合は特におすすめです。
しかし、リールタイプの延長コードを使用する際には注意が必要です。ケーブルが巻かれた状態で長時間使用すると、ケーブル内部の温度が上昇し、火災のリスクが高まる可能性があります。そのため、使用する際には必要な長さだけを引き出し、余分な部分はリールに巻いたままにしておくことが重要です。また、購入する際には使用するシーンの長さを事前に考慮し、適切な長さの製品を選ぶことが肝心です。これにより、安全かつ効率的に屋外用延長コードを活用することができます。
屋外用延長コードの選び方
- 長さで選ぶ
- 機能で選ぶ
- デザインで選ぶ
- 安全性が高いかどうかで選ぶ
長さで選ぶ
キャンプなどで利用する屋外用延長コードを選ぶ際には、多くの場合、10メートル以上の長さが必要となりますが、必要以上に長すぎると管理が難しくなるため、使用する場所に合わせた最適な長さを選ぶことが重要です。
十分な長さを確保しつつも、扱いやすさと収納の容易さを考慮することがしましょう。
機能で選ぶ
キャンプ場などの屋外環境では、雨や湿気といった条件下でも安全に使用できる「防雨能力」を備えた屋外用のコードリール、タップ、延長コードが必要です。
この種の製品は、キャンプ場の電源サイトで家電製品を使用する際にも不可欠です。屋外用の製品を使用することで、天候の変化や地面の湿度など、さまざまな屋外条件下でも電源を安全に使用することができます。そのため、アウトドア活動時には、これらの条件を考慮した製品選びが重要です。
しかしながら、市場には「アウトドアライク」と称される商品も多数存在し、これらの中には実際には屋外用としての機能を有していないものもあります。アウトドアショップやホームセンターで購入する際は、商品が本当に屋外用として適切な機能を有しているかどうかを確認することが重要です。
デザインで選ぶ
屋外用延長コードを選ぶ際のデザインに関するポイントとして、安全性と視認性を高める要素を考慮することが重要です。目立つ色の延長コードを選ぶことで、特に夜間や暗い環境下でもコードを容易に認識でき、転倒のリスクを減らすことができます。また、コードに蛍光テープを巻くことも効果的です。
これにより、視認性がさらに向上し、安全に使用することが可能になります。視認性の高いデザインは、機能性だけでなく安全性にも寄与する重要な要素です。
安全性が高いかどうかで選ぶ
延長コードを選ぶ際に安全性を重視する場合、PSEマークの有無をチェックすることが重要です。
PSEマークは、日本の「電気用品安全法」に基づく国の定めた技術基準を満たしていることを示すマークであり、このマークが付いている延長コードは安全性が確認されていることを意味します。
許容出力・消費電力で選ぶ
延長コードには、使用可能な最大電流が異なるため、コードの種類によっては1200Wや1500Wなどが主流です。コードの許容量を超える電力を使用すると火災のリスクがあるため注意が必要です。
また、キャンプ場などで使用する際は、その場の電源の使用可能最大出力も確認し、延長コードを選ぶ必要があります。電源が落ちると他の設備も使えなくなる可能性があるため、特に注意が必要です。
屋外用延長コードをキャンプで使用する際の注意点
- 火災に気をつける
- 延長コードを折り曲げないようにする
火災に気をつける
延長コードの使用では、ホコリによる火災リスクがあります。隠れた場所に設置するとホコリが溜まりやすく、トラッキング現象によって火事につながる可能性があります。
このため、延長コードを清潔に保ち、定期的な掃除を心がけることが重要です。こうすることで、安全に延長コードを使用し、火災のリスクを最小限に抑えることができます。
延長コードを折り曲げないようにする
キャンプで延長コードを使用する際には、コードを折り曲げたり絡ませたりしないことが重要です。
電流が流れる際にコードが曲がっていると、内部での破損や過熱が発生し、これが火災に繋がる危険性があります。
特に、コードが触れられないほどに熱くなった場合は、即座に使用を中止し、内部損傷の有無を確認すべきです。コードの寿命を延ばし、安全を確保するためにも、折りたたみや絡み合い、重圧下での使用は避けましょう。
防水・防雨でおすすめの屋外用延長コード10選
キャンプシーンにおすすめの延長コードをピックアップしました。屋外用のさまざまな延長コードにくわえ、あると便利なアイテムも紹介していきます。
リーズナブルなタイプの延長コード
価格の安さを重視する人は、延長するという基本的な機能だけをもつ、リーズナブルな延長コードを選びましょう。テントやタープまで電源を引き込むという基本的なニーズに対応しています。
また、このタイプの延長コードには、長さを延長するだけのモデルと、コンセントの差し込み口を増やせるモデルの2種類があります。長さを延長するだけのモデルは、電源から離れた位置で家電製品などを用いる必要がある時に活用できます。
また、コンセントの差し込み口を増やせるモデルは、複数の家電製品を同時に使用したい場合に適しています。例えば、キャンプ中にスマートフォンを充電しながら、LEDランタンやポータブル扇風機などを使えるでしょう。
なお、多くの延長コードは、最大1,500W(ワット)までの電力に対応しています。そのため、複数の家電製品を同時に使用する際は、使用電力の合計が1,500Wを超えないように注意する必要があります。なかでも、高電力を消費するヘアドライヤーや電気ポットなどを同時に使用する場合は、とくに注意しましょう。電力オーバーになると、ブレーカーが落ちてしまうおそれがあるでしょう。
リーズナブルな延長コードを選ぶ際は、予算だけでなく使用する環境や必要な機能にも着目し、適切なタイプを選ぶことが大切です。価格と機能のバランスを考え、自分のニーズに適した商品を選択しましょう。
ハタヤ(HATAYA)「屋外用SK防雨型延長コード」
国内メーカーの「ハタヤ」が手がけている延長コードです。コンセントの差し込み口が1つついた、10m延長できるタイプです。安価で購入できる点が大きな魅力。周囲に溶け込まず、はっきりと確認しやすい鮮やかな黄色が特徴です。 なお、色違いでブルーもあります。
ハタヤ「屋外用防雨型FX延長コード」
国内メーカーの「ハタヤ」が手がける、コンセントの差し込み口が3つついた、5m延長できる屋外用の延長コードです。コンセントの差し込み口が3つあるため、色々な家電製品を同時に使用できます。
kowa 「防雨型 延長コード 12A」
国内メーカーの「宏和工業」が手がける、日本製の延長コードです。シックなブラックカラーが目を引くアイテムです。合計1,200Wまでの電力に対応しているので、キャンプシーンで活躍するでしょう。また、安全性を考慮し、使用中に加熱しやすい部分を二重構造にしている点も魅力です。
kowa 「防雨型 延長コード 15A」
国内メーカーの「宏和工業」が手がける、コンセントの差し込み口が3つついた、10mの延長が可能な延長コードです。コンセントの差し込み口が3つあるため、家電製品を同時に使用できるでしょう。
使い勝手のよいコードリールタイプ
コードリールタイプの延長コードは、デザイン性の高さと存在感から人気があります。特に、機能面だけでなくデザイン面も重視されるアウトドアシーンで人気が高い傾向があります。
屋外用のコードリールタイプは、雨風や直射日光などにさらされる環境下でも使用できます。また、コードを巻き取るリール機能により、使わない時はコンパクトに収納できるのも魅力です。さらに、使用時は必要な長さだけを引き出せるため、使い勝手が非常によいといえるでしょう。
ハタヤ「コードリール 防雨サンデーレインボーリール 15A」
コンセントの差し込み口が4つついた、20mまで延長可能な延長コードです。日本製なので安心感があります。キャンプだけでなく、非常時の災害グッズとしても活用できるでしょう。
HATAYAxGranGear「コラボ商品 ブラックカラー SS-30B2」
ハタヤとグランギヤのコラボ商品です。コンセントの差し込み口が4つついた、30mまで延長可能な延長コードです。電源まで距離があるキャンプサイトでも快適に使用できるでしょう。また、キャンプ場でも確認しやすいブラック塗装も魅力のひとつです。使い勝手と見た目の良さを求めている人にぴったりです。
HATAYAxGranGear 「コラボ商品 デザートカラー SG-15KBE」
ハタヤとグランギヤのコラボ商品です。差し込み口が4つついた、15mまで延長できる商品です。ゴールドマットの色合いは、キャンプシーンになじみやすいといえます。また、重量は約4.1kgと軽いため、気軽に持ち運べるでしょう。
電源利用にあると便利なアイテム①プラグカッパー
プラグカッパーは、通常のコンセントを簡単に防水仕様に変更できる、後付けのアクセサリーです。湿気の多い環境下や屋外で電源を使用する際に非常に便利なアイテムです。特に、屋外での電源利用において重要です。
延長コードやリール自体が防水設計であっても、コンセントとプラグの接続部分には防水性がないため、水が侵入するリスクがあります。プラグカッパーを使用することで、雨風や湿気などから接続部を保護できるでしょう。
プラグカッパーは、屋外でのイベント・キャンプ・ガーデニング・屋外工事など、さまざまなシーンで活用できます。例えば、屋外でのパーティーで音響機器や照明を使用する際にプラグカッパーを使用することで、天候の変化による感電やショートのリスクを減らせるでしょう。また、庭の手入れなどで屋外で作業する際は、電動工具などを安全に使用できるでしょう。
プラグカッパーを選ぶ際は、コンセントのタイプとサイズに適合するものを選ぶことが重要です。日本の標準コンセントに合わせたものや、特定の電源装置用のものなど、市場にはさまざまなタイプのプラグカッパーがあります。そのため、使用する環境や機械類に合わせて選ぶのが非常に大切です。
また、設置する場所の環境に応じて、防塵性・防水性のレベルを考慮するのが望ましいでしょう。耐久性に優れた商品を選ぶことで、屋外の厳しい環境下でも安全に使用できるでしょう。
ハタヤ 「プラグカッパー KGS-1」
電源利用にあると便利なアイテム②防雨延長補助コード
電源サイトの設備は、キャンプ場によって異なることがよくあります。特に、キャンプ場によっては、屋外型のコンセントが直接使用できない場合があります。これは、住宅用の屋外コンセントや通常のコンセントが、防水ボックス内に設置されているようなケースで見られます。このような状況では、屋外型コンセントの大きくて丸いプラグを、通常のサイズに変換するための補助コードが必要になります。
補助コードがあれば、屋外型コンセントのプラグを標準サイズのプラグに変換して使用できます。これにより、さまざまなタイプの電源設備に対応できるようになり、電化製品が使いやすくなるでしょう。
防雨延長補助コードは特に、さまざまなキャンプ場で宿泊するキャンパーにとっては非常に便利なアイテムといえます。防雨延長補助コードを1つ持っておけば、さまざまな種類の電源設備に対応できるでしょう。また、防雨延長補助コードは、コンパクトで携帯性に優れているのも魅力です。場所をとらずに気軽に持ち運べるでしょう。
新東電器 防雨延長補助コード
電源利用にあると便利なアイテム③室内用のコンパクトな延長コード
室内用のコンパクトな延長コードは、テント内で使用する際に非常に便利です。とくに、防水タイプのコンセントにサイズが対応していない、ACアダプターからコンセントの接続部が直接出ているような電化製品を使用する場合に重宝するでしょう。防水タイプのコンセントに適合するコンパクトな延長コードを使えば、電化製品が使いやすくなります。
また、室内用のコンパクトな延長コードは、コンパクトで携帯性に優れているのも魅力です。キャンプなどのアウトドアシーンで持ち運びやすいでしょう。さらに、テント内の限られたスペースをとらない点も特徴。使用中に邪魔に感じにくいでしょう。
室内用のコンパクトな延長コードを選ぶ際は、コードの長さ・耐久性・安全性能などを考慮することが重要です。必要に応じ、複数の差し込み口が付いているものや、USBポート付きのものを選んでください。また、消費電力の上限が高い商品を選べば、複数の電化製品を同時に使いやすいでしょう。
サンワサプライ「電源延長コード 0.1m」
電源利用にあると便利なアイテム④ワットチェッカー
ワットチェッカーを使用することで、接続された電化製品の消費電力やコストを簡単にチェックすることができます。電気使用量を知ることは、SDGsの取り組みにも繋がり、防災の観点からも重要です。
通常のコンセントの電気使用量は15Aまでと制限されているため、火災を避けるためにもワットチェッカーの利用がおすすめです。
CUSTOM エコキーパー EC-03N
電源利用にあると便利なアイテム⑤USBポート付き延長コード
USBポート付きの電源タップを用いることで、キャンプでの活動がより便利なものになります。スマートフォンやタブレット、PCなど、USBで充電するデバイスが増え続ける中、これらの電源タップがあれば、別途アダプターを用意する必要がなくなります。
ケーブルを直接タップに挿すだけで、デバイスの充電が可能になるため、スペースを有効活用し、周囲をスッキリと保つことができます。
USBポート付きの電源タップには、同時に複数のデバイスを充電できるモデルや、急速充電に対応したモデルもあります。これにより、充電の効率性が向上し、忙しい日常生活の中でもデバイスを素早く使い始めることができます。
また、搭載されているUSBポートの種類や数、最大出力などは製品によって異なるため、購入前にこれらの仕様を確認することが重要です。
トップランド TPE20-WT USB電源タップ
Q&A
Q: 屋外用延長コードと通常の延長コードの違いは何ですか?
A: 屋外用延長コードは、耐候性・防塵性・防水性があり、屋外環境(例:雨や湿気)に適しています。通常の延長コードはこれらの特性を持たず、主に室内での使用を想定しています。屋外用延長コードは、視認性がよいイエローやブラックカラーが多く、水滴や埃(ほこり)から保護するためのカバーが装備されていることがあります。
Q: 屋外で安全に電源を使用するために必要なアイテムは何ですか?
A: 安全な電源利用には、屋外用の延長コード・防雨型のコードリール・プラグカッパー・防雨延長補助コードなどが必要です。これらのアイテムは、さまざまな電源サイトや環境(例:焚き火の近く、湿った地面)での使用に適しています。また、消費電力の限界(例:1,000W、1,200W)を理解し、オーバーロード(負荷のかけすぎ)を避けることも重要です。
Q:屋外用延長コードの購入時に注意すべきポイントは何ですか?
A: 屋外用延長コードを選ぶ際は、防塵性・防水性・耐候性・ケーブルの長さと太さ・最大許容電力(例:1,500W)・安全面を考慮した機能(例:ショートカット保護)などを確認しましょう。また、使用目的に応じて、単一の電源を遠くまで伸ばすシンプルなタイプか、複数の電化製品を同時に接続できるタイプかを選ぶ必要があります。さらに、屋外での視認性に関わるデザインや色も重視してください。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。