台風の後は魚の活性が上がり「釣れる」といわれる一方で、増水や強風といった危険も伴います。本記事では、台風後に釣果が期待できる理由と、釣行を中止すべき具体的な条件をわかりやすく解説。あわせて安全に楽しむための判断基準を紹介します。

台風後の釣りは安全?まず知っておきたい危険性

台風が過ぎた後は晴れ間が出る場合も多く、「釣りに行こうかな」と思う人もいるでしょう。ここでは、台風後に釣りへ出かける際に知っておきたい危険性について解説します。

増水やうねりによる事故リスク

台風後の海は一見穏やかに見えても、うねりが長く残っていることがあり、波にさらわれる危険性が高まります。

また、河川でも急な水位上昇により立ち位置が浸水し、足元をさらわれる危険があるため注意しなければなりません。特にテトラ帯や護岸沿いでは、波の巻き返しに注意が必要です。

天候が急回復しても海や川の状態はすぐには戻らないことを念頭に置き、安易な釣行は避けましょう。

強風・突風の危険性

台風通過後でも、局地的な強風や突風が発生するケースがあります。特に、開けた堤防や海岸沿いでは、風にあおられてバランスを崩したり、道具が飛ばされてしまったりする危険性も少なくありません。

また、キャスト中に風で竿があおられ、フックが自分や他人に刺さるといった事故も起こりえます。台風が過ぎ去った後であっても、風速・風向のチェックを欠かさず状況を冷静に判断しましょう。

足場や漂流物への注意

台風後の釣り場は足元の状態が著しく悪化している場合があるため、注意が必要です。たとえば、以下のような状況に気を付けましょう。

  • 護岸のブロックがずれて不安定な状態
  • 堤防に海藻や泥が付着して滑りやすい
  • 海や川から流れてきた流木・ゴミ・ロープなどの漂流物が足場を塞いでいる

障害物につまずいたり、ラインが絡んだりすると事故やケガのリスクも高まります。台風後はもちろん、釣りを始める前には必ず足場の安全を確認する習慣をつけましょう。

命を守る装備と基準

どれだけ注意しても、自然相手に完璧な安全は確保できません。だからこそ、しっかりとした装備が命を守るために必要です。

まず、ライフジャケット(救命胴衣)は必ず着用しましょう。滑り止め付きのシューズも欠かせません。加えて、ヘッドライトやホイッスルも用意しておくと緊急時に役立ちます。

また、単独釣行は極力避け、必ず家族に行き先と帰宅予定を伝えておくことも大切です。無事に家に帰るまでが釣りである点を肝に銘じておきましょう。

台風後はたくさん釣れるの?

濁りや増水など一見悪条件にも思える変化は、魚にとって活性化のスイッチになります。ここでは、台風後によく釣れるとされる理由を見ていきましょう。

水位の変化で魚の活性が上がる

台風による増水は、水中の環境を一変させます。水位が上がると魚の活動が活発になり、広範囲にエサを探して回遊するのです。また、増水によって通常は浅すぎて入れなかったエリアにも魚が入り込み、普段は狙えないポイントでもチャンスが生まれます。

このような変化はとくに汽水域や淡水域のシーバスやブラックバスなどに顕著で、釣り人にとって釣果を上げるチャンスとなります。

水温や酸素量の変化も見逃せない

雨による水温低下や水中の酸素量の変化も、魚の活性に大きく影響します。特に夏場は水温が高すぎると魚の動きが鈍りますが、雨で一時的に冷やされて快適な温度帯になると、活発にエサを追うようになるのです。

また、水中に流れ込んだ雨水には酸素が多く含まれているため、魚が集まりやすくなる効果もあります。

エサとなる小魚が増える

雨によって土砂や落ち葉、虫などの有機物が水中に流れ込むと、小魚の活動も活発になります。川や用水路から流れ込んできた小魚は沿岸部や汽水域に留まり、それを捕食する大型魚も近づいてくるのです。

食物連鎖の下層が活発になると、ターゲットの活性も連動して上がり、釣り人にチャンスが増えるというわけです。

釣り人のプレッシャーが少ない

台風後は天候の不安や安全面から釣り人が減るため、魚にとってはプレッシャーの少ない状態になります。普段ならスレて反応しない魚も警戒心が薄れ、ルアーやエサに素直に反応するケースも少なくありません。

特に、都市部や人気釣り場では人の少ないタイミングが逆に好機になることもあり、台風後は混雑を避けたい人にも絶好のタイミングです。ただし、安全確認は怠らないようにしましょう。

安全に楽しむための情報収集と判断基準

「台風後は釣れる」といっても、安全確認を怠れば事故のリスクが高まります。ここでは、安全を客観的に判断するための情報源や条件を見ていきましょう。

出発前にチェックすべき情報源

台風後に釣りに行くのであれば、警報や注意報などを確認しておきましょう。海釣りであれば、海上保安庁が提供している「海の安全情報」が役立ちます。

川釣りの場合は、国土交通省の「川の防災情報」が便利です。雨量や水位の変化をチェックできるほか、川によってはライブカメラでリアルタイムに状況を把握できます。

また、SNSで釣り人が投稿する現地の様子や、釣具店・ローカルな釣り情報サイトの更新もあわせて確認しておくと良いでしょう。

中止を判断すべき具体的な条件

台風後が釣れるといっても、無理は禁物です。海釣りの場合は風速10m/s以上、波高2.5m以上といった風やうねりが強い状況なら、釣りを中止しましょう。

川釣りであれば、水位や濁りに注意が必要です。河川は20~30cm水位が増えるだけで、流速が格段に上がります。水位が上がるほど濁って足元が見えない危険性も増すため、川に立ち込む釣りでは特に注意しなければなりません。

台風後はチャンスとはいえ、釣果より命が大切である点をあらためて認識しましょう。

親子連れや初心者が特に避けるべき状況

小さな子ども連れや釣り初心者の場合、安全対策をより慎重に考える必要があります。まず、夜釣りは視界が悪く、急な天候変化に対応しにくいため避けてください。

また、足場の悪いテトラ帯や岩場も危険が多く、避けた方が無難です。管理された港湾エリアや防波堤など安全が確保された場所を選び、危険やトラブルを最小限に抑えましょう。

台風後は釣果が期待できる好機ですが、命を守る行動があってこそ釣りを楽しめます。まずは自然のリスクと安全確保を理解したうえで、釣れる理由を知るといった順序が大切。釣りはあくまでレジャーであり、命をかけるものではありません。無事に家に帰るまでを含めて釣りです。自然の力を軽視せず、命を守る行動を最優先に行動しましょう。

阿部 コウジ

ライター

阿部 コウジ

釣り歴30年以上のアウトドアライター。自然豊かな清流や渓谷に魅せられ、環境と共生する釣りの魅力や自然を大切にしたアウトドアの楽しみ方を発信。釣った魚を食べるのも好き。将来はキャンピングカーで車中泊しながら、日本各地の釣り場を巡るのが夢。