ボードゲームはキャンプなどのアウトドアにもってこい。電源なしで遊べて、性別年齢に関係なく楽しめるボードゲーム。人数や所要時間でも選べるゲームが多く、家族や仲間と集うアウトドアに適しています。ボードゲームは楽しいだけではなく、脳トレにもなることが判明!その有用性と、イタリアでも人気のおすすめゲーム7選を紹介します。
電子ゲーム全盛の現在も根強い人気を誇るボードゲーム
ボードゲームは「娯楽」のひとつ。人類は太古の昔から、ボードゲームを楽しんでいたことがわかっています。イタリアの休暇に欠かせないボードゲームも、この流れのなかにあります。
人類は古代からボードゲームを楽しんでいた
エジプトやメソポタミアなどの古代文明には、ボードゲームが存在していたことがわかっています。娯楽のためだけではなく、思考力を鍛えたり、コミュニケーションのツールとして使われたりしていたと主張する学者も少なくありません。
デヴィッド・グレーバーの『万物の黎明』では、遊びやゲームが人類の発展や交流に大きな役割を果たしたと書かれています。農耕や物流の発展も、実はゲームをベースとする遊戯的なコンセプトから生まれたという説は、出版当時から大いに注目されました。
イタリアの休暇に欠かせないボードゲーム
著者が住むイタリアでは、ボードゲームはバカンスシーズンに欠かせないもの。夏休みにはキャンプ場にボードゲームを大量に持ち込みますし、冬休みには暖炉の前でボードゲームをする姿がよく見られます。
週末の青空市場には、ボードゲームコーナーが設けられていることがあり、家族構成や子どもの年齢にあわせて、おすすめのゲームを教えてもらえます。わが家もイベントで勧められたゲームを購入して、楽しんでいます。
ボードゲームがもたらす効果
ボードゲームをただの遊びと侮るなかれ!ウェルネス・ツールとして有効なボードゲームのメリットを紹介します。
認知機能の向上
2019年にエディンバラ大学が発表した研究では、ボードゲームが認知機能の向上に有効であることが報告されています。
70歳以上の高齢者を対象に、日常的にボードゲームを楽しむ人とそうでない人を比較したところ、楽しむ習慣を持っている人のほうが記憶力や思考速度が優れていることが判明しました。
創造力と発想の向上
2021年の温州大学の研究では、ボードゲームの使用により学生たちの創造的解決力が向上したと報告されました。
研究では、持続可能な開発の授業の一環としてボードゲームを用いるというユニークな実験を実践。経済や政策における創造力が培われたことや、科学的概念の理解度が深くなったことなど、さまざまな結果が注目を浴びました。
ストレスの軽減
ボードゲームには、ストレスを軽減する効果も認められました。チェスや囲碁など、伝統的なボードゲームで遊ぶことで、抑うつ効果があることが判明したのです。ボードゲームをメンタル系の病気の治療法として用いる試みも進められています。
コミュニケーション能力の向上
2021年の常葉大学の研究では、ボードゲームで遊ぶことによって、コミュニケーション力が伸び、他者を理解する姿勢が見られたと報告されています。この実験で使用されたボードゲームは、「ナンジャモンジャ」と「ディクシット」。
「ナンジャモンジャ」は、コミカルなイラストを活用した神経衰弱的なゲームです。「ディクシット」は、幻想的な絵画を使いながら、想像力や語彙力を生かすゲーム。どちらも、自己表現を求められるのが特徴です。
研究で明らかになったのは、ボードゲームに参加した子どもたちが、想定、模索、読みを駆使して、他者とのコミュニケーションを図る様子が顕著であったこと。ゲームを共有した集団内で、相互に理解し合う努力が見られ、友好的な空気を醸し出すという結果になったそうです。
ボードゲームの使用でグループ内に活気が喚起される一方、平和に物事を進めるコミュニケーション力も培われたと報告されています。
ボードゲームの選び方
ボードゲームを選ぶ場合、まずは参加者の年齢を考慮する必要があります。子どもはゲームをすぐに習得しますが、あまり複雑すぎるゲームは幼児には向きません。コマのような小さな部品を使ったゲームも、幼児がいる場合は要注意です。ゲームに参加できる人数、使用できるスペースも、考慮に入れる必要があります。
また、瞬発力を要するゲームは、高齢者にとって高いハードルになることも。参加者全員が楽しんで参加できることを前提に、ゲームを選ぶことが大切です。
とくにアウトドアで楽しむゲームを選ぶ場合は、次のことに留意しましょう。
①携帯が楽でパーツが少ないこと
コンパクトなサイズや構造のゲームを選びましょう。アウトドアでパーツをなくすと見つけるのも一苦労。パーツは少ないほうがベターです。
②耐久性のある素材であること
プラスチック素材など、耐久性のあるものがおすすめです。
おすすめのボードゲーム
アウトドアでも楽しめるボードゲーム。種類が多く、選ぶのが難しいと感じる人もいるかもしれません。ここでは、ボードゲームの選び方を紹介します。どれも日本語版があり、日本でも購入可能。※ パッケージが可愛いゲームならばインテリアにもなります。
※ミカドのみ日本語版はありません
短時間で遊べるゲーム
夜更かしをしたくない場合は、短時間で勝負がつくゲームで楽しみましょう。
ミカド
イタリアの家庭でよく見かけるとてもシンプルなゲーム。ルールはいたって簡単。テーブルの上に広げた竹の棒を、ほかの棒を動かさないように引き抜き、点数を競うゲームです。幼稚園児から高齢者まで参加可能。
おばけキャッチ
瞬発力を競うおばけキャッチは、慣れると子どものほうが断然有利。カードのイラストと、5つの可愛いアイテムが合致するもの、あるいはまったく合致しないものを見抜くゲームです。イタリアで大人気です。
ドブル
反射神経が問われるゲームで、幅広い年齢層で楽しめます。カードに描かれたいくつかのアイテムをベースに、遊び方は数種類。世界での販売数が500万個を超えて、日本でもよく知られています。
長時間楽しめるゲーム
イタリアでは、大みそかの夜に年明けを待ちながら楽しむゲームがいくつかあります。
モノポリー
100年以上の歴史を持つ定番ゲーム、モノポリー。お金の計算や不動産取引をしながら勝利を目指すゲームです。小学校高学年くらいから楽しめます。お寿司や桜が描かれた日本版もあります。
チケット・トゥ・ライド
都市と都市をつなぐ線路を構築していくゲーム。オリジナルはアメリカ大陸が舞台ですが、我が家にはヨーロッパバージョンがあります。日本版もあるため、日本の地理を覚えるには最適。地図の上に少しずつ広がる線路にワクワクします。
文系脳が活かせるゲーム
ゲームというと理系脳を持つ人が有利なイメージがありますが、文系の人が有利なゲームも多数。いくつかのゲームをご紹介します。
ディクシット
幻想的なイラストのカードが魅力的なディクシット。想像力や語彙力、コミュニケーション力が勝負のカギになります。イラストからイメージできる言葉や事象をどのようにほかのプレーヤーに伝えるか、子どもたちの柔軟な思考力にハッとさせられることも。数々の賞を受賞した革新的なゲームです。
はぁって言うゲーム
日本で開発されたこのゲーム、演技派が断然有利です。1つの言葉に異なる感情を込めて演技する楽しさで、年齢を問わず大いに盛り上がります。
The University of Edinburgh「Playing board games may help protect thinking skills in old age」
Science Direct「The effect of a scientific board game on improving creative problem solving skills」
National Library of Medicine「Special series on “effects of board games on health education and promotion” board games as a promising tool for health promotion: a review of recent literature」
常葉大学「自己表現を伴うボードゲームと 他者とのコミュニケーションに関する基礎的研究」
ライター
cucciola
ヨーロッパの片田舎で家族と3人暮らし。
学生時代に都会の生活で心を病んで以降、スローライフとスローフードで心身の健康を維持。気が向くまま、思いつくまま、風まかせの旅行が多数。
アートと書籍を愛するビブリオフィリアで1人の時間が大好き。