登山で避けたほうがよい色とは?
登山道具を選ぶときは、機能や好みだけでなく、色も考慮しなければなりません。好きな色であっても、登山ではリスクがある場合があります。避けたほうがよい色と、そのリスクを紹介します。
①黒や明度の低い濃紺|スズメバチに攻撃されやすい
黒や明度の低い濃紺などの服を着ていると、スズメバチからの攻撃を受けやすくなります。スズメバチは黒を認識する能力が高く、天敵のクマと勘違いするからです。
5月初旬から活動をはじめ、登山のハイシーズンにあたる8〜10月は繁殖期のため、数が多くなり攻撃性が増します。とくに、朝の7〜8時ごろはスズメバチの活動が活発です。この時期に早朝から山へ行く際は、黒系統の色を避けましょう。
黒系統の服はなるべく避け、明るい色を身につけることで、スズメバチ対策になります。黒い髪は、明るい帽子などを被るとよいでしょう。
また、黒は日光の熱をためやすい性質があります。夏の暑い日は、熱中症の心配があるので、避けたほうが無難です。
ただし、黒は汚れが目立ちにくく、ほかの色と合わせやすいメリットがあります。スズメバチの繁殖期には、ボトムやインナーで着るなど工夫をすれば、活用できるカラーです。
②アースカラー|遭難時に発見しにくい
茶色・深緑・グレー・迷彩色などのアースカラーは、自然色とも呼ばれ、おしゃれで人気があります。一方で、遭難時に位置を特定しにくいのがデメリットです。
事故や遭難をした場合、発生から72時間が過ぎると、生存率が急激に下がるため、早期発見が重要になります。しかし、アースカラーを身につけていると、木々や岩などと同化してしまい、発見が困難になるのです。
とくに、動けなくなった登山者は、雨風をしのぐため、木々や岩の陰などの発見しにくい場所で救助を待つ場合があります。もしものときに備えて、全身をアースカラーでコーディネートするのは避けましょう。
③黄色やオレンジ|虫が寄りやすい
黄色やオレンジなどは、花や果実に似た色のため、虫が寄りやすいといわれています。
また、紫外線を反射しやすい白色にも、虫が集まりやすいという特徴があります。春から夏にかけては、虫が発生しやすい時期です。登山中の虫対策として、青や緑などの寒色系を選ぶとよいでしょう。
ただし、虫は汗の匂いにも寄りやすく、色の選択を気にするだけでは防げません。防虫スプレーや虫除けネットなどで、しっかりと対策するのを忘れないようにしましょう。
登山で着るべき色の選び方とは?
上記で紹介した登山で避けたほうがよい色を見ると、いったいどのような色を着ればよいのか悩みます。そこで、登山ではどのような色選びをしたらよいのかを紹介します。
①遠くからでも目立つ明るい色を身につける
登山服やザックは、事故や遭難に備えた明るい色選びが鉄則です。明るい色のなかでも鮮やかな青は、自然界ではあまり見られず、よく目立ちます。民間の救助隊が、どこか一部に装備してほしいと話すほどです。
また、黄色やオレンジは遠くからでも認識できる色として、国際救助色に選ばれています。
しかし、色にはそれぞれ好みがあります。黒やアースカラーはおしゃれさを演出できるので、登山でも着用したいアイテムです。
ただし、全身を同色でコーディネートするのは避けるべきです。たとえば、帽子だけでも目立つ色であれば、遠くからでも発見しやすいでしょう。ワンポイントでも目立つ色を取り入れることで、リスク対策になるためおすすめです。
登山服を黒にするならザックを青にしたり、ザックを黒にするならアウターを赤にしたりするなど、明るい色を取り入れてコーディネートしてみましょう。
②季節や時期によって色を変える
登山をするシーズンによって、身につける色を変える必要があります。新緑の季節に明るい緑を着たり、紅葉の時期に黄色やオレンジを着たりすると、自然と一体化してしまって捜索時に目立たないからです。
周囲との同化を避けるため、季節色と反対の色を選びましょう。たとえば、春や夏などの緑が多い季節なら、赤やオレンジを着るのがおすすめです。
また、秋の紅葉シーズンには、青と紫を選ぶとよく映えます。雪山では白を避け、赤・緑・青・紫などの視認性が高い色に注目しましょう。
いつも同じ色を選ぶのではなく、季節ごとに色をチョイスできるように、バリエーションを増やしておくとよいでしょう。
ライター
yuki
幼少期からキャンプや釣り、スキーなどを楽しむアウトドアファミリーで育つ。10代後半は1人旅にハマりヨーロッパや北米を中心としたトラベラー期となる。現在もスキー、スノーボード、ダイビングなど海や山で活動中。「愛する登山」は低山から厳冬期の雪山まで季節問わず楽しむhike&snowrideなスタイル。お気に入りの山は立山連峰!Greenfield登山部/部長の任命を受け部活動と執筆活動に奮闘中。