雪山登山の必須ギア「ワカン」について
ワカンとはどういった登山ギアなのか、わかりやすく紹介していきます。
ワカンとは「かんじき」のこと
ワカンとは輪になったかんじきのことで、雪山登山には欠かせない登山ギアです。積雪が30cm以上になると、登山靴だけでは歩きにくくなります。
新雪の場合はまだかき分けながら(ラッセルして)進むことができますが、数日経ち表面が解けて凍った雪の場合は、足がズボズボと沈み込んで、歩くのが非常に困難です。
そこで活躍するのがワカンです。登山靴の底の表面積を広くして、雪への沈み込みをおさえることができます。
ワカンとスノーシューの違いは?
ワカンもスノーシューも同じかんじきです。違いは雪に接する広さにあり、ワカンよりもスノーシューのほうが雪に接する面が広くて、雪への沈み込みが少ないのが特徴。
スノーシューは降り積もったばかりのふかふかした新雪で使用されるのに対して、ワカンは、数日経過して表面が硬く凍った雪面に適しています。
ワカンとスノーシューの使い分け
ワカン | スノーシュー | |
ふかふかの新雪 | △ | ◎ |
表面が凍った雪面 | ◎ | ○ |
小回りの効きやすさ(コンパクトさ) | ◎ | × |
雪面での浮力 | △ | ◎ |
ワカンの特徴と使い方
ワカンの特徴と使い方についてわかりやすく紹介していきます。
ワカンの特徴
形状はフラットタイプとベントタイプ
ワカンには、なだらかな登山道や平地をおもに歩くためのフラットタイプと、坂道で使用するために前方が跳ね上がったベントタイプとがあります。
アイゼンと併用する場合には、上下逆にして使えるフラットタイプを選ぶようにしましょう。
素材はアルミやプラスチックなどさまざま
ワカンには、アルミなどの金属製からプラスチック製、木製など、さまざまな素材が用いられています。雪山登山には、破損などの少ないアルミ製がおすすめです。
装着方法はベルト式とラチェット式
ワカンの装着方法は、おもにベルト式とラチェット式との2つがあります。一般的なワカンはベルト式ですが、ラチェット式のほうが脱着しやすいので雪山におすすめです。
ワカンの使い方
ワカンは、登山靴の底にベルトやラチェットなどで装着します。ワカンによって装着方法が違うので、説明書にしたがって装着してください。
アイゼンと併用する場合には、先にアイゼンを装着したあと、フラットタイプのワカンを上下逆にして装着します。
ワカンを選ぶポイント
ワカンを選ぶ際には以下のポイントをおさえておきましょう。
ワカンを選ぶポイント①素材
ワカンには木製やプラスチック製、金属製などがあります。冬山登山に使用するワカンは、安全性を重視してアルミなどの金属製を選ぶようにしてください。
ワカンを選ぶポイント②アイゼンと併用する場合はフラットタイプ
アイゼンと併用するときは、ワカンについている大きな爪を上向きにして装着します。理由は、ワカンの爪がアイゼンの爪よりも大きいため、爪を下向きで使用するとアイゼンの爪が効かなくなるからです。
上下をひっくり返しても使えるフラットタイプ(ベントタイプは向きが決まっている)のワカンを選ぶようにしましょう。
ワカンを選ぶポイント③どのような場所で使うか
急こう配の登山道なのか、それともなだらかな登山道、もしくは平らな登山道を歩くのかで、ワカンのタイプが異なります。坂のきつい登山道ではベントタイプ、なだらかな登山道ではフラットタイプのワカンがおすすめです。
また、凍って滑りやすい登山道では、アイゼンと併用することがあるので、フラットタイプを選ぶようにしましょう。
おすすめのワカンを紹介
以上のワカンを選ぶポイントをふまえながら、おすすめを紹介します。
oxtos(オクトス) | アルミわかんラチェット式 【アルミ製】
ラチェット式のバックルで装着するので、脱着が簡単。フラットタイプのため、アイゼンとの併用も可能です。
エキスパートオブジャパン | HS(ハイスペック)スノーシューズ 【アルミ製】
ベントタイプとフラットタイプの2種類があります。アイゼンとの併用を予定している方は、フラットタイプを選ぶようにしましょう。ベルト式で登山靴にしっかり固定することができます。
マジックマウンテン | トレースラインEVO L 【アルミ製】
ベントタイプのワカン。積雪のある坂道での使用におすすめです。
和かんじき 立山かんじき 【木製】
富山県にある日本唯一のガイド村として知られている芦峅寺でつくられ、古くから立山ガイドの必需品として愛用されてきた和かんじきです。
バーテックス | スーパーカンジキ 【合成樹脂製】
浮力の強い形状をしており、底面にステンレス製の爪が7本あります。強化合成樹脂製で軽くて歩きやすくなっています。