日本百名山のひとつ、安達太良山について
安達太良山の標高は1,700m、山頂付近にある噴火口(沼ノ平火口)は現在も火山活動が活発で、気象庁は活動状況を観測して、警戒情報を発表しています(現在の噴火レベルは1、活火山であることに留意)。
山頂付近では、噴火口(沼ノ平火口)を囲むカルデラの西側が崩落しており、火口から硫黄川に沿って麓の猪苗代町方向へ流れ下る地形をしています。
そのため、噴火時のハザードマップは、主に猪苗代町を被害対象と想定して警告をおこなう体制を整えています。
噴火口から流れる硫黄川では、1960年頃まで硫黄の採掘がおこなわれてきました。
1900年には噴火にともなう火砕流が発生し、硫黄を採掘する鉱山まで達して多くの死者を出しています。
周辺には、野地温泉、横向温泉、沼尻温泉、岳温泉、奥岳温泉、塩沢温泉といった、マイナー受けしそうな名湯が点在。
また、あだたら高原スキー場や塩沢スキー場、箕輪スキー場などがあり、山スキーのメッカとしても有名です。
気象庁:安達太良山の活動状況
安達太良山の活火山としての歴史
かつて安達太良山の山頂にある沼ノ平火口は、カルデラ状のすり鉢形をしていましたが、今から2400年ほど前に沼ノ平火口壁が崩壊し、現在の地形になったと考えられています。
有史以降の噴火活動としては、1899年(明治32年)に沼ノ平火口で噴火が起こり火焔現象を観測。
翌年の1900年(明治33年)7月17日には、沼ノ平火口で水蒸気噴火が発生、火砕サージが流れ下って硫黄採掘所を直撃し、死者72名、負傷者10名の被害を出しています。
昭和では、1950年(昭和25年)2月25日に噴煙を上げ、平成になってからは、1995年(平成7年)に火山性微動が観測されて、翌年の1996年(平成8年)には沼ノ平火口で泥水噴出しています。
さらに1997年(平成9年)9月には、4名の登山者が火山ガスで死亡。霧で道に迷った登山者が、立入禁止エリアの沼ノ平火口に降りてしまったことが事故の要因です。
安達太良山の登山ルートのご紹介
安達太良山は、百名山の中でも比較的初心者が登りやすい山として知られています。
活火山なので立入禁止エリアに入らないように注意して登山を楽しみましょう。
あだたら山ロープウェーから安達太良山山頂駅・奥岳登山口ルート(初心者向け)
あだたら高原スキー場がある奥岳登山口から一気に「あだたら山ロープウェー」で山頂付近まで登り、表登山口・仙女平分岐や安達太良山山頂、乳首、くろがね小屋などを経て奥岳登山口へ降りるルートです。
5時間ほどのコースタイムで、奥岳登山口には「あだたら山奥岳の湯」という温泉があるので宿泊もできます。
※牛の背、馬の背から沼ノ平方面(1997年の遭難箇所)への立入は禁止となっています。地図で立入禁止エリアを確認して立ち入らないようにしてください。
塩沢登山口ルート(中級者向け)
塩沢温泉にある塩沢登山口から湯川沿いに登り、僧悟台、笹平分岐、鉄山避難小屋、鉄山、峰の辻、くろがね小屋を経て、また塩沢登山口へ戻る登山ルートです。
コースタイムは7時間ほど、登山口に塩沢温泉があるので、登る前や下山して宿泊することもできます。
沼尻登山口ルート(上級者向け)
西側の沼尻登山口から登り、沼ノ平火口を一周するルートです。
沼ノ平火口には立ち入らないように注意して登るようにしてください。
また、岩場や急傾斜が多いのでスリップや滑落にも注意しましょう。
沼尻登山口から船明神山、安達太良山、鉄山、鉄山避難小屋を経て沼尻登山口に戻るまでのコースタイムは6時間ほどです。
安達太良山周辺にある温泉のご紹介
安達太良山の周辺には、噴火口に直接熱源を持つ良い温泉街や秘湯が充実しています。
沼ノ平火口付近に源泉がある沼尻温泉
沼尻温泉は、安達太良山の山頂にある沼ノ平火口に熱源を持つ硫黄川の源泉から温泉を引いています。
江戸時代から続く230年以上の歴史があり、もともとは、硫黄川沿いの源泉近くに温泉宿が集まっていましたが、1900年の安達太良山大噴火や硫黄鉱山の開発で、現在の場所へ移転しました。
沼尻温泉 のんびり館
住所:福島県耶麻郡猪苗代町蚕養沼尻山甲2855-7
電話:0242-67-1268
沼尻温泉 田村屋旅館
住所:福島県耶麻郡猪苗代町蚕養沼尻山甲2855
電話:0242-64-3421
岳温泉
岳温泉の源泉は安達太良山山頂の直下にある「くろがね小屋」付近にあります。
江戸時代中期まで、「くろがね小屋」付近に温泉街が形成されていましたが、土石流で埋まり、近くに移転しています。
また、明治に入り官軍の拠点になることを恐れた二本松藩によって焼き討ちにあい焼失。
さらに、1903年(明治36年)には火災によって温泉街が全滅、1906年(明治39年)に地元の有志ら17名が岳温泉株式合資会社を設立しましたが、経営不振で倒産しています。
1948年(昭和23年)に、台湾開発で財を成した実業家の木村泰治が、岳温泉株式合資会社の負債を肩代りして再建させ現在に至っています。
岳温泉協会
住所:福島県二本松市岳温泉1-16
電話:0243-24-2310