自然環境の保護を目指すアウトドア業界
海外ではアウトドアに関わる企業が一丸となって、自然環境の保護に取り組む動きが見られます。
たとえば、アメリカのアウトドア業界の団体として挙げられるのが、Outdoor Industry Association(OIA)です。加盟企業は約1,300社。アウトドアファッションのブランド企業も数多く参加しており、組織全体で環境問題に取り組んでいます。
OIAでは各企業が得意分野を生かして、環境負荷の少ない製品づくりを実施。うまくいった取り組みは加盟企業のあいだで共有されます。ひとつの企業では時間がかかることも、他社の事例を参考にできる仕組みなのです。
豊かな自然があるからこそ成り立つアウトドア業界では、企業の垣根を越えて持続可能な環境保全を目指しています。以下の記事でも海外のアウトドアブランドの取り組みを紹介していますので、あわせてご覧ください。
「サステナブルなファッションへ!海外アウトドアブランドの取り組み①」
サステナブルファッションの海外アウトドアブランド4選
海外のアウトドアブランドでは、具体的にどのようなサステナブルな取り組みを行っているのでしょうか。今回は以下の4つのブランドをピックアップしました。
- GREGORY(グレゴリー)
- Marmot(マーモット)
- KEEN(キーン)
- Deuter(ドイター)
各ブランドのサステナブルな取り組みを紹介します。
①GREGORY(グレゴリー)|アメリカ
1977年にアメリカのサンディエゴで設立されたアウトドアブランドです。創設者であるウェイン・グレゴリーは、14歳のときにボーイスカウトの活動ではじめてバックパックをつくります。次第にバックパック制作への情熱が高まり、自身のブランドとなるGREGORYを立ち上げました。
GREGORYのバックパックは、人間工学にもどづいたデザインや品質にこだわっているのが特徴。快適な背負い心地や耐久性を追求していますよ。アウトドアシーンだけでなく、日常やビジネスでもつかえるさまざまなバッグを展開しています。
カーボンフットプリントの削減
カーボンフットプリントを減らすことに取り組んでいます。カーボンフットプリントとは、原料の調達から廃棄・リサイクルまでのあいだに排出されるCO2のことです。
カーボンフットプリント削減のため、輸送につかう段ボールのサイズを改良。段ボールのなかで無駄になっていたスペースが減り、より少ない数のコンテナで輸送できるようになりました。
加えて、商品の包装も工夫しています。必要最低限の量になるようなデザインや、環境にやさしい素材を取り入れていますよ。
平等で安全な労働環境を提供
各国にある工場で、労働環境を整備しています。児童労働や人身売買を防ぐだけでなく、抜き打ちで工場の現地調査も実施。工場のスタッフと労働環境や健康、安全面を共有しています。問題がある場合は、解決に向けてしっかりと対処しているのが特徴的です。
②Marmot(マーモット)|アメリカ
「生還するためのプロダクト」をコンセプトとする、アメリカ発のアウトドアブランドです。ブランドのはじまりは1971年。カリフォルニアの大学で出会った大学生2人が、寮でパーカーや寝袋をつくりはじめたのがきっかけでした。
1974年、クリント・イーストウッドの映画にダウンジャケットを納品し、ブレイクします。1982年にはウィメンズの商品を発売。アウトドアブランドのなかでも、女性用ウェアのパイオニアとなりました。現在は防水や断熱の技術を生かして、過酷な自然環境でも耐えうる商品を展開しています。
最新技術をつかった長持ちする製品づくり
積極的に最新の技術を取り入れています。防水・速乾・耐熱など、機能性にすぐれた製品を取りそろえているのが特徴。劣化しにくいよう、ひとつの商品を長くつかえる工夫がされています。
ただし、機能性が高くても、環境や人体に悪影響がある物質はつかいません。とくに、水をはじく加工でつかわれるPFCは、環境に残りやすい物質のため、使用を排除しています。
古着の回収とリサイクル
直営店でブランドを問わず古着を回収しています。回収した服はポリエステル素材にリサイクル。新しい服に生まれ変わったり、自動車の内装に利用されたりしています。
ポリエステル以外の素材もリサイクルしますが、まだ着られる服は寄付という形でリユースもしますよ。ゴミの削減や新しい資源をつかわない取り組みに貢献しているのです。
③KEEN(キーン)|アメリカ
2003年にアメリカで設立されたフットウェアのブランドです。ブランドのスタートは、設立者のマーティン・キーンがヨットに乗って遊んでいた際に、つま先をケガしたのがきっかけ。つま先を守れるサンダルをつくることを決意し、ブランドを立ち上げました。
最初に発売したモデルは、靴の安心感と、サンダルの手軽さを兼ね備えていることで人気に。ブランドが大きくなっても、いろいろな環境下で快適に遊べる商品づくりを大切にしています。現在はスニーカーのラインナップも豊富です。
自然を守るためのボランティア活動を推進
世界中の海や川でゴミ拾いをするなど、自然環境を守るための活動を実施しています。日本では西表島で旅行者によるゴミ拾いを進めました。ビーチでプラスチックゴミを拾い、石垣港のターミナルに持ち帰ると、アート作品の制作に参加できるというユニークな取り組みです。
ほかにも、野外イベントでゴミの分別とリサイクルの活動を支援。NPO法人とのコラボレーションで、ペットボトルのゴミをつかってアートをつくるイベントをおこなっています。
災害支援を実施
2004年に起きたスマトラ島沖地震をきっかけに、自然災害に対して積極的な支援をしてきました。
2020年に起こった熊本の豪雨では、被災地で活動するボランティア団体に約4,300足のシューズを提供。また、コロナウイルスの流行を受けて、自社工場でつくったマスクを無料配布する取り組みも行なっています。
④Deuter(ドイター)|ドイツ
1898年にドイツで創業されたパックパック・ブランドです。1930年に最初のモデルを発売して以来、バックパックはDeuterを代表する製品となっています。
1968年には、世界ではじめてナイロンのバックパックをつくり、軽くて丈夫な素材として主流になりました。現在では、さらに機能性やデザインを高めながら、環境にやさしい製品づくりをしています。
ブルーサイン認証の取得
2008年からブルーサインのパートナーになっています。ブルーサインとは、環境保全はもちろん、働く人や購入者の安全も考慮された製品に与えられる認証です。パートナー工場と共に、ブルーサインの製品づくりに取り組んでいますよ。
はじめてブルーサインの基準をクリアした製品は、キッズシリーズのアイテムでした。また、ペットボトルをリサイクルした素材のデイパックも、2020年にブルーサイン認証を得ています。
工場の労働環境を整備
工場の労働環境を整備する取り組みも行っています。労働者の能力やモチベーションを保つことで、安定した品質につながると考えているためです。
たとえば、ベトナムの工場では、国内の平均賃金より高い給与を支給しています。また、無料のランチや送迎、社宅の提供も実施。労働者が安心して働ける福利厚生がととのえられています。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。