僻地への引越し費用の見積もりに卒倒
移住先に選んだのは僻地の集落です。まずは都会とは訳が違う僻地での引越しと、それにまつわることをお伝えします。
「あの海に住もう」だけで決めた移住
移住を決めたのは唐突でした。妻が見ていたスマホに、たまたま物件情報が出てきたことが発端です。
実はその物件は、夏に何度か泳ぎに行ったお気に入りのビーチの近くにあり、移住するのに理想的な環境でした。物件を見つけた翌々日に内見を申し込み、10日後には内見に行くという、まさに突発的行動でした。
発作的移住計画から実行までのタイムライン6月15日 物件情報を発見
6月17日 物件問い合わせ&内見申し込み
6月26日 内見
6月28日 物件申し込み
7月16~23日 引越し
7月29日 東京の家を引き払う
契約後に明らかになった衝撃の事実
内見を終えたあとは、すっかり移住気分で盛り上がっていたようです。その2日後に入居の申し込みをして、そのまま契約の手続きをしました。
そこから引越しのための荷造りと、電気・ガス・水道や区役所での手続きなどを一気に済ませました。全てを並行して行うのは本当に大変でしたが、移住の高揚感でなんとか乗り切りました。しかし、まさかの事実が発覚!
浮かれ内見の代償は大きかった
引越し業者に見積もりを依頼したところ、金額は100万円オーバーでした。その理由を尋ねると、移住先は車が入れないエリアだったことが判明。スタッフの人数や作業時間が大きく変わってしまうため、見積もりの金額が割高になってしまいました。
思い返してみると、移住先は坂と路地の集落で車道はありませんでした。内見の時は浮かれていたのか、搬入のことなどまるで頭から抜け落ちていたのです。内見の際には、必ず引越しの動線を確保しましょう。
それにしても、100万円を超える引越し料金など到底予算に組み込まれていません。いきなりピンチを迎えます。
僻地移住はそれまでの人望が問われる
金なし時間なしの移住で、不可能を可能にしてくれたのは友だちでした。
業者がダメなら友だちを頼る
早々とピンチを迎えましたが、あきらめずプランBを決行!そこで頼りにしたのは友人たちです。ある友人から日曜日に4トントラック2台を借りて、総勢13名で協力して引越しをしました。
積み込みや積み下ろし時までは多くの友人たちが手伝ってくれましたが、時間切れで多数が離脱しました。そこからは、最大の難所である地獄の階段を使った荷物運び。その時に残っていたのは、私と妻を合わせて5人でした。
階段無し地獄にハマる
山のような荷物は、近所のお寺さんの駐車場に置かせてもらいました。重い荷物を手で持って30段の石段を降り、さらに100mほど歩いてひたすら運びました。
永遠に終わらぬ苦行のようでしたが、数時間かけてなんとか荷物運びが完了。その後、月を眺めながら友人たちと飲んだサイダーの味は忘れられません。
もつべきものは、お金より友だということを実感した瞬間です。
書類1枚で100万円が消えた事件
友人も大切ですが、やはりお金も大事。移住でもらえるはずだったお金の失敗をお伝えします。今後、移住を計画する際に私と同じような失敗をしないよう、参考にしてみてください。
自治体の移住支援金をアテにして
今、多くの自治体が移住支援を行っています。私の住む静岡県でも35の自治体が支援を行っていて、私の自治体では2人以上の移住の場合、100万円の支援金が支給されます。
ちなみに、静岡県への移住に関わる支援制度(助成金・補助金)の情報については、こちらからご覧になれます。
「お空キレイ……」市役所で遠のく意識
しかし、転入後、市役所で移住支援金の申請をしたところ、書類の不備を指摘されました。
指摘されたのは開業届です。私は個人事業主で、支援を受けるためには、移住前の自治体で開業届を出していることが条件の一つでした。しかし、引越しまでの目まぐるしい日々のなかで、事前に提出するのをうっかり忘れていたのです。
- 交付申請書
- 誓約書
- 口座振込依頼書
- 写真付き身分証明書
- 住民票
- 移住元の住民票の除票
- 市区町村税の完納証明書等
- 開業届出済証明書(就業形態などにより提出書類は異なります)
開業届の紙1枚がないために、支援金が受け取れないことが判明。失神しそうになったのを覚えています。申請書類などに関する情報はこちらをご覧ください。
果たして財政復活の日は来るのか
引越しや転居にかかる資金はすべてローンでまかなって、自治体の移住支援金で返済する予定でしたが、そのアテが外れてしまいました。そのおかげで、我が家の家計は大きなダメージを受けました。「リモートワークで移住ライフ!」と意気軒昂だった筆者の希望も風前の灯火です。
ここからどのように財政立て直しを図って行くかは、また別の機会にお話ししたいと思います。
ライター
いしいあきら
茨城の田舎町からギター片手に上京。特に音楽をやるわけでもなく出版業へ。読書ばかりしていた暗い青春時代が生きる。それなりに本を作ったり雑誌を作ったり楽しくすごす。しかし、その素性は田舎っぺ。年々、自然への憧れが強くなり、3年前にうっかり移住。海と猫と老人に囲まれ、幸せな毎日を送る。好きな果物はいちご。