歴史の古いロードバイクのレース
熱心な自転車ファンが多い地域として、そして多くの名自転車選手を輩出する地域として有名なスペイン・バスク地方。
毎年7月25日この地方のオルディジアで、プロのロードレースが開催されます。
それがプルエバ・ビリャフランカ・オルディジアコ・クラシカ。
今年で96回目の開催を迎える、スペインで2番目に古い自転車レースです。
コースは周回コース。
1周約33㎞のコースを5周します。
レースの距離は165㎞。
バスク地方特有の、距離は短くても斜度のある登りを何度も走ることになるこのレース。
それは同時に、選手たちはかなりのスピードで下る必要があることを意味します。
道幅が狭く、カーブが多いため、意外とテクニックの要求されるコースでもあります。
今年のこのレースの最大の敵は、高い気温でした。
レース当日の予想最高気温は37度。
朝10時のレースのスタート時点ですでに28度の気温でした。
風もほとんどなかったため、選手たちは高温のなか、過酷なレースに挑むことになりました。
日本代表チームの参加
今回、このレースに日本代表チームが参加しました。
出走したのは、ゼッケン番号順に、選手はゼッケン番号順に雨澤毅明選手、石橋学選手、石上優大選手、入部正太郎選手、小石祐馬選手、増田成幸選手、岡篤志選手の7人です。
この日、日本代表チームのライバルとなったのは、大レースの常連であるモービースターやイスラエル・サイクリング・アカデミー。
スペインのレースではおなじみの、カハ・ルラル・セグロス・RGA、ブルゴスBH、エウスカディ・バスクカントリ-・ムーリアス、フンダシオン・エウスカディ、チーム・コメタ。
ほかにもポルトガルやフランス、南米パラグアイ、アフリカのギニアのチームが参加し、国際色豊かなレースとなりました。
今回、2週間のヨーロッパ遠征の初戦としてこのレースに出走した日本代表チーム。
レース数日前にヨーロッパ入りしたとはいえ、時差ボケなどの影響はほとんどないまま、このレースに挑むことになりました。
石上優大選手がアンダー23歳のリーダーに
レースはスタート直後に数人の選手が落車したものの、30㎞ほどで逃げ集団が形成されます。
日本代表チームは入部選手をこの第1集団のなかに送りこむことに成功。
現役の日本チャンピオンの走りに、バスクの自転車ファンも注目します。
レース序盤で逃げ集団が形成された後、メイン集団はこのレースで優勝を狙うモービースターとエウスカディ・バスク・カントリー・ムリアスの2チームがしっかりとコントロール。
先頭集団とのタイム差を最大で3分ほどに抑えます。
その後は大きな落車もなく、一見淡々とレースは進みます。
しかし、レース中に気温は一気に上昇し、35度を超えます。
加えてコース上に日影はあまりなく、風もほとんど吹かない状況。
選手たちは暑さと戦いながらレースを進めることになりました。
レースが動きはじめたのは、ゴールまで残り60㎞ほどになってから。
メイン集団のペースが上がり、逃げ集団を吸収します
その後はモービースターやムーリアスをはじめとするチームの選手が、個々に大集団から抜け出そうとするも、すぐに集団に吸収される状況が続きます。
ゴールまで10数キロの地点で、モービースターのラファ・バリェス選手が仕かけたアタックが決まり、彼はそのままゴールまで独走。
彼が今年の優勝者となりました。
バリェス選手がゴールした後、29秒差で12人ほどの選手がスプリントでゴールに一気になだれ込みます。
各チームのエース級の選手がそろったこの集団の中に、日本代表の石上優大選手の姿がありました。
最終的に石上選手は7位でゴールします。
このゴールにより、石上選手はアンダー23カテゴリーのリーダーとなりました。
表彰式にて
そしてレース後の表彰式で、石上選手は2回表彰台に上ることになりました。
ひとつは、前述のアンダー23カテゴリーのこのレースのリーダーとして、もうひとつはこのレース名物の「ナイスガイ」賞の受賞者として、表彰されるためです。
この若き日本人自転車選手の活躍に、バスクの自転車関係者も感心している様子でした。
「これから先が楽しみな選手だよね。またこのレースに走りに来てほしいな」
このように話しているバスクの自転車関係者が複数いました。
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ライター
Greenfield編集部
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