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今回は、山岳遭難の救助活動に欠かせない「山岳警備隊(警察)」についてご紹介していきます。
山岳警備隊(警察)は、どのような人たちによって組織されているのか、どうしたら山岳警備隊になれるのか、普段はどういう活動をしているのか探ってみました。

「山岳警備隊(警察)」ってどういう組織?

山岳警備隊(警察) 活動

山岳警備隊は、全国の都道府県にある警察内(主に警察本部生活安全部)に設置されています。主に山岳エリアを中心に警備活動や救助活動を行っている組織です。

山岳警備隊としてよく知られている組織には、富山県警山岳警備隊や長野県警山岳警備隊、岐阜県警山岳警備隊などがあります。

富山県や長野県、岐阜県をまたがるようにして3,000m級の山々が連なる北アルプスがあるため、この3県の山岳警備隊は体制が充実していることで知られています。

富山県警山岳警備隊

富山県警山岳警備隊は、1965年(昭和40年)に結成されました。登山のメッカ北アルプスを管轄しているため、これまでに救助した延べ人数は3,000名を数えます。

また、残念ながら遭難者の救助活動中に殉職された警察官は3名となっています。

富山県警山岳警備隊は、剣岳登山の玄関口「馬場島」がある上市警察署、富山南警察署、魚津警察署、黒部警察署、入善警察署などに所属する警察官で構成されています。

救助に使用するヘリコプターはアグスタ A109K2「つるぎ」。山の常駐拠点は、馬場島、室堂、剣沢などにあります。

富山県警では、山岳経験者が警察官採用試験を受験して、山岳警備隊に入隊することが多いようです。一般的な警察官とは活動内容が異なり、山岳エリアでの巡回警備と救助訓練、登山訓練などを日頃から行っています。

長野県警山岳救助隊

長野県警山岳警備隊は、日本の山岳警備隊の中で最も歴史があります。結成は1954年(昭和29年)です。

警察本部地域課内にあり、警視の隊長を中心に、副隊長(警部)、ヘリコプターの操縦士、整備士、そして活動の中心的役割を果たす機動隊(8名)と女性隊員2名によって構成されています。

山岳地帯の拠点は、涸沢山、白馬岳頂上、常念山脈、唐松岳頂上、宝剣山荘、赤岳鉱泉などにあります。山岳救助隊を志願する隊員は、警察署内の地域課で山岳登山の実績を積んだのち、山岳救助隊に配属されます。

長野県警山岳救助隊は常日頃からロッククライミングなどの高度な山岳登山訓練を行いながら救助要請に備えています。

岐阜県警山岳救助隊

岐阜県警山岳警備隊は、1970年(昭和45年)に結成されています。新穂高岳や穂高岳などに常駐拠点があり、登山訓練や救助訓練を行いながら出動要請に備えています。

 

「山岳警備隊(警察)」はどういう活動をしているの?

山岳警備隊(警察) 活動

山岳救助隊(消防)の場合は、遭難者が発生して救助要請が出てから出動しますが、山岳警備隊(警察)の場合は、山岳地帯に駐在拠点があり、常に登山道を巡回して治安維持や安全管理を行っています。

中心的な任務は遭難者が出たときの救助活動ですが、それ以外に山とは関係のなさそうな、盗難事件や窃盗事件、強盗事件なども件数は少ないものの発生しています。

富山県警山岳警備隊では、剣岳一帯や富山地方電鉄五百石駅にある国立登山研修所などで遭難者を救助する訓練を行っています。

訓練では、雪渓や登山道などからの滑落事故が発生したという想定で、ヘリコプターと連携しながら遭難者の救助訓練を定期的に実施しています。

北アルプス一帯では富山県と長野県だけで年間に400人を超す遭難者が発生しています。遭難者の発生は冬季よりも夏季の方が多いため、年間を通した救助訓練が欠かせません。

訓練ではチームワークや登山技術の向上、危険を回避する能力などを磨きます。富山県警や長野県警、岐阜県警などに設けられている山岳警備隊は特別な組織です。

それ以外にも、各都道府県に山岳警備隊が組織されています。

これらの山岳警備隊は、富山県警や長野県警、岐阜県警のように常に山岳救助の訓練や山岳地帯での巡回警備を行っているわけではありません。

ほかの都道府県に設置されている山岳警備隊は、通常は駐在所や交通課、地域課、生活安全課などに所属して一般の警察官と同じ業務を行っています。

山で遭難者が発生したときにだけ、山岳警備隊が組織されて、遭難現場へ出動して行方不明者の捜索や救助活動などを行います。

 

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登山者及び山岳遭難事故の状況

 

あなたも無関係ではありません!

山岳警備隊(警察) 活動

警察庁の調べによると平成28年の全国の山岳遭難の件数は2,495件にのぼっています。遭難者の人数は2,929人で、そのうち319人の方が亡くなり、1,133人の方が怪我などで病院へ搬送されています。

平成25年以降、遭難件数は2,000件以上で推移しており、高齢登山者の増加で今後も増え続けると予想されています。

富山県警山岳警備隊では、経験豊富なガイドやリーダーと同行して登山するよう登山者に呼びかけています。

また、体力や経験に応じた登山計画を立てることも大切です。道に迷った末の滑落事故や遭難事故が多く発生しています。

明るいうちに山小屋や目的地に到着することが、道迷いによる遭難防止につながります。

無理な登山計画のため暗くなってから山小屋に到着するという登山者が多いようですが、早めに出発して明るいうちに目的地に到着するように心がけましょう。

 

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警察庁山岳遭難統計

富山県警山岳警備隊

山岳警備隊(警察)の活動について解説してきました。安全対策に充分気を付けて、山岳警備隊のお世話になるようなことは避けたいものです。
そういう筆者も、北アルプスの剣岳で偶然出くわした訓練中の富山県警山岳警備隊に「装備がなってない」と叱られたことがあります。
山に登る際には、余裕のある登山計画を立てて、しっかりとした装備で臨むようにしましょう。

ライター

Greenfield編集部

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