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海洋プラスチックごみ問題が世界中で深刻化しています。日本では環境省が、プラスチック・スマートという取り組みをしていますが認知度はいまひとつ。そこで、国や企業・団体の環境保護への取り組みと私たちができることをいま1度考えてみましょう。

海洋プラスチックごみ問題と環境保護への取り組み

海洋プラスチック ごみ

 

ほとんどの人は、豊かな海は永遠に続くとものだと思っているはずです。

しかし、海洋汚染は着々と進んでいて、このままでいくと2050年には、海洋プラスチックごみの量が海の魚の量を超えるという研究結果も報告されています。

海岸に流れ着く漂着ゴミのうち、約70%はプラスチックごみで、これが紫外線などによって破砕され、大きさが5mm以下になったものをマイクロプラスチックと呼んでいます。

マイクロプラスチックは、海の生態系だけでなく、私たちの生活や健康にも大きな影響を及ぼす懸念があり、この問題解決のために各国でさまざまな取り組みが始まっています。

私たちひとりひとりがこの問題に真剣に向き合い、問題解決に向けて動き出さなくてはいけない時がきているのです。
 

クジラのおなかからプラスチック/保坂直紀/旬報社
クジラのおなかからプラスチック/保坂直紀/旬報社

 

海洋プラスチックごみ問題に対する各国の取り組み

海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、各国ではさまざまな取り組みが行われています。

たとえば、パラオでは入国時に「Palau Pledge(パラオ誓約)」がパスポートに刻印され、それを読んで署名するという、世界でも例のない試みがすでに始まっています。

さらに、スーパーやコンビニなどで使う、プラスチックバッグの全面輸入禁止が実施されており、ハワイと同じようにサンゴに危害を与える化学物質入りの日焼け止めの使用禁止も、実施されることが決まっています。

また、タイのアンダマン海の国立公園では、入域の事前申請、保険加入、使い捨てプラスチック製品の使用禁止などのルールを設け、入域者数を減らす取り組みも始まりました。

こうした流れは世界各国で始まっており、日本は完全に出遅れてしまっていると言わざるを得ないのが現状なのです。

 

日本の環境保護への取り組み

海洋プラスチック ごみ

日本から排出されるプラスチックごみの廃棄量は、アメリカに次いで世界第2位です。

さらに、日本周辺海域のマイクロプラスチック浮遊数は、世界の海の平均よりも1桁多いことも分かっています。

しかし、2018年6月にカナダで開催された「G7シャルルボワ・サミット」において提案された「海洋プラスチック憲章」に、日本とアメリカは署名をせず、世界中から大きな批判を浴びることになりました。

海洋プラスチック憲章は、自国でのプラスチック規制強化を進める取り決めで、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5カ国とEUが署名をしています。

【海洋プラスチック憲章の主な内容】
・2030年までに100%のプラスチック用品をリユースがリサイクル可能、またどうしても有効な手段がない場合は、熱源利用といった他の用途への活用に転換する。
・不必要な使い捨てプラスチック用品を削減する。
・2030年までに可能なプラスチック製品はリサイクル率を50%以上にする。
プラスチック容器の理由またはリサイクル率を2030年までに55%以上、2040年までに100%にする。
・海洋プラスチック生成削減や既存ゴミの清掃に向けた技術開発分野への投資を加速させる。
出典元:海洋プラスチック憲章(JEAN 全文仮和訳)

しかし、2019年6月に日本で行われたG20サミットでは、日本が主導する立場で「プラスチック資源循環戦略」を策定し、国内での適正処理・3R(リデュース、リユース、リサイクル)の率先、国際貢献も強化する姿勢を打ち出しました。

そして、G20各国が海洋プラスチックごみの削減に向けて自主的な対策を実施し、その取り組みを継続的に報告・共有する「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組み」という国際的な枠組みを創設することで合意することになりました。

参照:プラスチック資源循環戦略

参照:G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組み

 

プラスチック・スマートとは

海洋プラスチック ごみ

海洋プラスチックごみ問題の解決に向けては、消費者をはじめ、自治体、NGO、企業など幅広い主体が連携協働して取り組みを進めることが必要です。

環境省では、プラスチックとの賢い付き合い方を全国的に推進する「プラスチック・スマート」キャンペーンを実施し、ひとつ旗印のもとに幅広い環境保護への取り組みを推進しています。

キャンペーンサイトでは、多くの企業や団体から参加報告があり、国内外に日本の取り組みを広く発信しています。

環境問題に積極的に取り組んでいる企業や団体の1例を見てみましょう。

プラスチックストローの廃止(スターバックスコーヒー)

スターバックスコーヒーの米国本社では、世界28,000以上の店舗においてストロー不要のリッド(蓋)と、代替素材のストローのオプションを導入することで、使い捨てプラスチックストローをなくすことを発表しています。

日本では、2020年までに使い捨てプラスチックストローをなくし、冷たいドリンク類にはストロー不要のリッドまたは環境にやさしい代替え素材のストローを提供する取り組みをしています。
 

PEAKS&TREES アルミ ストロー お掃除ブラシ付き 携帯用ケースセット
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ネイキッド化粧品の販売(ラッシュジャパン)

化粧品ブランドLUSHでは、取り扱う化粧品の約60%をネイキッド商品で販売しています。

ネイキッド商品とは容器不要商品のことで、パッケージにお金をかけるより中身の原材料にお金をかけるという考えに基づき、固形のものはネイキッドで販売することが基本です。

LUSHは、環境問題に精力的に取り組む企業のひとつで、リサイクルプラスチックを100%使った容器も使用しています。

海洋プラスチックごみ自主回収装置(株式会社平泉洋行)

ゴム・プラスチックの輸出入販売をしている(株)平泉洋行では、1日に1.5kgから最大20kgまでの海洋プラスチックごみを自動で回収する装置をフランスから輸入して、日本で紹介しています。

ウェルカメクリーン作戦(浜松市)

日本三大砂丘のひとつ中田島砂丘がある遠州灘海岸は、国内有数のアオウミガメの産卵地です。

また浜松市では、毎年5月の第2日曜日に市天然記念物のアオウミガメが安全に産卵できる砂浜を保全するためにウェルカメクリーン作戦を実施しています。

レジ袋の無料配布中止(北九州市)

北九州市では、平成30年から「北九州市における食品ロス及びレジ袋削減に向けた取り組みに関する協定」に基づき、市内のスーパー約80店舗でレジ袋の無料配布を中止しています。
 

Shupatto (シュパット) コンパクトバッグ
Shupatto (シュパット) コンパクトバッグ

 

私たちができる環境保護への取り組み

海洋プラスチック ごみ

私たちにできる海洋プラスチックごみ問題への取り組みのひとつに「ビーチクリーンイベント」に参加するという方法があります。

普段から目についたゴミを拾うことはもちろん重要ですが、まずはこうしたイベントに参加して、海洋環境保護に対する意識を高めることが重要です。

ビーチクリーンイベントは、全国各地で開催されているので、意識を向けさえすれば身近な場所でもイベントが開催されていることに気づくはずです。

また、こうした取り組みに参加した際は、SNSで「#プラスチックスマート」をつけて積極的に発信してくことも大切です。

団体やチームであれば、ビーチクリーンイベントなどの取り組みを「プラスチック・スマート」キャンペーンサイトに登録して、共通ロゴマークをダウンロードしてポスターや名刺に活用するのも良いでしょう。

まずは、海洋汚染の現状を知ることからはじめてみませんか。

海洋プラスチックごみ問題は知れば知るほどその問題の深刻さに気づくはずです。ひとりの力は小さなものかもしれませんが、それが集まれば大きな力になるはずです。たったひとりの意識の変化が大きな流れを生み出す可能性があります。かけがえのない海を未来に残すために、今、海洋汚染をついて真面目に考えてみましょう。

ライター

Greenfield編集部

【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
日本のアウトドア・レジャースポーツ産業の発展を促進する事を目的に掲げ記事を配信をするGreenfield編集部。これからアウトドア・レジャースポーツにチャレンジする方、初級者から中級者の方々をサポートいたします。