湯布院のシンボル由布岳
由布岳は、2つの岩峰を天に突き上げるような姿から、古来より神が鎮座する山として多くの伝説や物語が語り継がれてきました。
南西方向へ阿蘇山まで60㎞にわたって続く火山帯「阿蘇くじゅう国立公園」に属す火山です。
登りやすいことから九重連峰に次いで根強い人気があります。
また、火山特有の円錐形の形をしていることから豊後富士の愛称で呼ばれることがあります。
温泉街として知られる湯布院や別府の市街地からその山容が望め、地域のランドマーク的な存在です。
火山としての由布岳・噴火の歴史
有史に残る噴火はゼロ
由布岳は、東隣にそびえる鶴見岳と同時期の約9万年前に火山活動が始まったと考えられています。
約2,200年前には、大規模な噴火があり、溶岩ドームが形成され溶岩流や火砕流、火砕サージの流下などが発生し、山体崩壊によって現在の山容に変化したと考えられています。
噴火があったのは今から2,000年から1,900年前までで、有史に残る噴火は起きていません。
ただし、由布岳は独立峰ではありますが、由布・鶴見火山群に属し、隣にそびえる鶴見岳の麓の伽藍岳では、867年(貞観9年)に小規模な噴火が起こったという記録が残っています。
気象庁の「噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報」によると「有史以降の火山活動・記録に残る火山活動はない」「活火山であることに留意」とされています。
気象庁:由布岳
由布岳の登山ルート
由布岳の登山ルートには、主に正面登山口ルートと東登山口ルート、西登山口ルートの3つがあります。
ほとんどの登山者が、駐車場があって公共交通機関でのアクセスにも便利な、正面登山口ルートを使用しています。
正面登山口ルート
「正面登山口ルート」は、由布岳登山で最も登山者の多い人気の登山ルートです。
やまなみハイウェイ沿いに無料駐車場(30台)を備えているため、車でのアクセスにも優れています。
また、湯布院駅からバスがたくさん出ているので電車などの公共交通機関を利用される登山者にとっても便利な登山ルートです。
正面登山口から山頂までは約2時間20分ほど、下りは1時間50分、往復4時間10分ほどのコースタイムです。
東登山口ルート
東登山口ルートは由布岳の東側麓から登るルートです。
残念ながらこの登山口には駐車場がありません。
そのため登山口まではバスかタクシーまたは徒歩での移動となります。
このルートは鎖場が数カ所あり上級者向け。
登りと下り合わせて、4時間50分ほどのコースタイムです。
西登山口ルート
由布岳の南西麓にある金鱗湖付近から登るルートです。
登山者の少ないルートですが、景色が非常の美しいため、登山愛好家の間で人気があります。
飯盛ヶ城の越えた少し先からは正面登山口ルートと合流します。
正面登山口ルートで登って、帰りは西登山口ルートを使って下山するコースもおすすめです。
西登山口から山頂に登って西登山口へ下山するまでのコースタイムは約5時間です。
由布岳の見どころ
湯布院温泉
由布岳の麓、金鱗湖の周辺に広がる温泉郷です。
活火山である由布岳麓の源泉から温泉が滾々と湧き出しており、豊富な湯量を誇ります。
温泉街につきもののにぎやかな歓楽街や大型ホテルがなく、かつてはひなびた温泉街として人気が下火になる時代がありました。
しかし、大規模開発を頑なに拒んできたことが逆にプラスに転じることになり、ブームを巻き起こしている黒川温泉などのさきがけとなりました。
塚原温泉や湯平温泉とともに国民保養温泉地に指定されています。
塚原温泉 火口乃泉(伽藍岳噴火口跡)
塚原温泉は、867年(貞観9年)に噴火した伽藍岳噴火口の近くにある温泉です。
由布岳から北東へ3㎞ほどの塚原高原にあります。
泉質は全国第二位の強酸性(一位は玉川温泉)で、酸性度が強すぎて石鹸が泡立たないほどです。
アトピーなどの皮膚炎に効能があるといわれています。
徒歩5分のところにある伽藍岳噴火口は年々拡大傾向にあり、以前は噴火口近くに穴を掘って自作の湯船を作り入浴するマニアがいましたが、現在は立ち入り禁止になっています。
湯平温泉
湯布院駅からJR久大本線で湯平駅下車、山間に3㎞ほど入ったところにある温泉郷です。
湯布院温泉よりも古く、鎌倉時代から続く歴史のある温泉郷です。
江戸時代に整備された石畳の坂道にそって温泉街が細長くつづいており、情緒のある温泉郷として国内のみならず海外からの旅行者にも人気があります。
ライター
Greenfield編集部
【自然と学び 遊ぶをつなぐ】
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