ロードバイクが日常にあるスペインの道路事情-自転車と自動車の共存のために―

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ロードバイクが日常にあるスペインの道路事情-自転車と自動車の共存のために― 筆者撮影:道路右側を2列で走るのが自転車に乗る人の走り方です。

スペインに限らず、ヨーロッパでは自転車で移動する人がたくさんいます。しかも、日本人には考えられないほど、長い距離を何日もかけて、自転車で旅する人が珍しくありません。そのため、ヨーロッパでは自転車と自動車の共存の方法がいろいろと考えられています。この記事では、スペインで見かける自転車と自動車の共存について、レポートしたいと思います。

自転車と自動車の共存の必要性

筆者撮影:ミケーレ・スカルポーニを追悼する横断幕。2017年のブエルタ・エスパ―ニャにて。

 

前述のように、ヨーロッパでは非常に長い距離を、自転車で旅する人が本当にたくさんいます。

のどかな田舎道で、車がめったに来ないような道路なら移動も簡単でよいのですが、実際には自動車やトラックのような大型の車が頻繁に通る道路を通る必要になることの方が多いです。

そのため、悲しいことにヨーロッパでは、サイクリストが事故に巻き込まれるニュースを頻繁に耳にします。

事故の被害にあうサイクリストはアマチュアだけでなく、現役のプロ自転車選手も事故に巻き込まれることがあります。

昨年のジロ・デ・イタリア直前に世界を駆け巡った、ミケーレ・スカルポーニの事故をおぼえている日本のファンも多いことでしょう。

実際、プロ・アマチュア問わず自転車の練習中に車とぶつかりそうになったり、あるいは実際にぶつかられことのあるサイクリストは、かなりの割合で存在します。

中には、故意にサイクリストにぶつかる、悪質なドライバーもいたりするのです。

スペインでも、このような話は後をたちません。

2016年1月にはにグラナダで合宿中だったワーレン・バルギル(Warren Barguil) やジョン・デッゲンコブ(John Degenkolb)をはじめとする当時のGiant-Alpecinチームのトップ選手6人が交通事故の被害に遭いましたし、2018年にはハンドバイクの自転車選手が交通事故で亡くなったりもしています。

この10年間で、スペイン国内では400人のサイクリストが交通事故で命を落としているというデーターもあります。

このような状況をふまえて、スペインでは、サイクリストの安全な走行を保証する運動が近年徐々に高まっています。

次の2つの動きは、スペイン国内でも比較的最近、自転車と自動車の共存を進めるために見られるようになった活動です。

 

 

 

スペインでの「1.5mキャンペーン」

 

スペイン国内を自動車で走っていると、上のような黄色いステッカーを貼った車を見ることがあるかもしれません。

そして、かなりの高確率で、そのような車の多くが自転車を積んでいることにもすぐに気が付くことでしょう。

このステッカーは、「最低距離1,5m。レスぺクタ・シクリスタ(Distancia mínima 1,5m. Respeta al Ciclista) 」と呼ばれており、スペイン国内でサイクリストを守るキャンペーンに賛同していることを表すものです。

このキャンペーンが進めているのは、「自動車がサイクリストを追い抜くときには、両者の間の距離を1.5m以上取りましょう」というもの。

実はスペイン、自転車で走っているサイクリストのすぐ横を、車で追い越すドライバーが本当に多いのです。

中には、サイクリストを脅かすためにわざとそうした行為をする運転手もいるほどです。

このようなドライバーの行動を変えようと、考えられたのがこのキャンペーンでした。

8年前からスタートしたこのキャンペーンは、今やスペイン全土に広がっています。

しかし、それでも、サイクリストの事故がなくならないのは、非常に悲しいことです。

 

 

自転車優先時間帯をもつ道路

筆者撮影:自転車優先時間帯を示す看板。上半分は「1.5mキャンペーン」。

 

バレンシアとバルセロナのほぼ中間地点にペニュスコラ(Peñíscola)という街があります。

海が隣にあり、大変風光明媚なところで、スペイン人に人気のあるリゾート地の一つです。

そのペニュスコラから20㎞ほど内陸部にはいると、丘と呼ぶにはその登りが少々ハードな山が連なります。

このあたりは年間を通じて温暖な気候であるため、プロ・アマチュア問わず、サイクリストがこの山を自転車で登って楽しむことができる場所でもあるのです。

そうした動きを受けて、サイクリストのための新しい道路規制を打ち出しました。

それが、前述の看板です。

「休日(日曜日含む)の9時から14時までは、この道路はサイクリスト優先道路である」ことを示しています。

もちろん、「サイクリスト優先」であって「サイクリスト専用」ではないのですが、このような道路をこれから増やすことで、このあたりのサイクリングを楽しむ観光客を誘致しようという地元自治体の狙いと、安全に走りたいという地元のサイクリストの願いが一致した結果、このような看板が設置されるに至りました。

このあたりは小さくて親しみやすい村々が多く、数千年の年月を生きているオリーブの木の生えている場所などもあり、楽しみながら自転車でこのあたりを巡るのに大変適したルートです。

もちろん、なかなかテクニカルで厳しい登りもあったりするので、本格的に自転車でトレーニングする人にとっても、適した地域であると言えるでしょう。

 

 

まとめ

最近、プロ・アマチュア問わず、多くのサイクリストが口にすることがあります。「自分は自転車に乗るのが好きだけど、今自分の子供に、「自転車に乗れ」とはとても言えないよ。道路で乗っていると、事故にあいそうになることがこの数年に本当に増えたからね。」彼らの子供たちが、安心して、自転車に乗れる日が来ることが現在のスペイン自転車関係者の願いの1つであったりするのです。

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